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日本蒸籠(にほんせいろ)

2022-06-21国内マジック道具,道具サロン・パーラー,ステージ,プロダクション,和妻

この日本蒸籠は関西地方では宝箱、海外では JAPANESE HANK BOX とも呼ばれる底の無い箱で、プロダクション・マジック用の道具です。

フジテレビの人気番組『なるほど!ザ・ワールド』でトランプマン2号として一世を風靡し、現在も豪華客船のクルーズ出演など第一線で活躍中の中島弘幸さんが木工職人と試行錯誤しながら完成させ、ご自身もショーで用いているプロ仕様の逸品です。

寸法は蓋と底の無い本体の箱(蒸籠部分)が高さ130mm・横幅225mm・奥行145mm・厚み18mm。そして本体をのせるトレーが高さ20mm・横幅253mm・奥行173mmとなっており、片手で持ちやすいように指を入れることができる穴が開いています。

箱と盆を合わせて使用します。

ネタ場は2箇所あり(つまり2回取り出せます)、容量は各スペースに60㎝シルクであれば4枚、長めののべシルクであれば2本、ばね花なら10個くらい、小さめのくす玉なら1個から2個程度収納できます。当時は小さいところから多量の蜘蛛の糸やのべシルクを取り出し、さらにその中から大きな傘を何本も取り出すといった一粒万倍(いちりゅうまんばい)の演目を「万倍芸」と称し、舞台の最後を華々しく飾ることが多かったようです。

三味線箱を用いた万倍芸。(『手妻早伝授 初編』より)

一般的な万倍芸であれば、のべシルクを取り出したのちに大きめの固形物を余所から補給してくることが常ですので、容量としては充分だと思います。仕掛け部分は精緻且つシンプルに作られており、間近で見ても分からないだけでなくロック及びアンロックの操作が非常に簡単で蒸籠の検め動作の中で自然におこなうことができます。

さらに特筆すべきは、その軽さです。

材質はできるだけ軽く丈夫なものが良いとされていますが、総重量が1㎏を超える蒸籠も多く、そのためテーブルに置いて取り出すことが多かったようです。天海本『日本手品宝華集』(1986年 山本慶一著)にも「福助」という万倍芸が解説(蒸籠の仕掛けは違いますが)されていますが、やはり蒸籠をテーブルに置いたままで品物を取り出しています。

しかし、この手の現象は箱をテーブルに置いたままだと、観客にどうにかしてテーブルの中から品物を取り出しているのだろうと疑われやすく、どうしても不思議さが損なわれがちなのですが、この蒸籠は昔から最上級の素材と言われる桐製で約400gと非常に軽く、女性でも片手で楽々と扱うことができ、蒸籠を持ったまま反対の手で品物を取り出すことができます。

一分の隙も無い美しい仕上がり。

すべて職人さんの手作りで製作完了までに約3か月もの時間を費やすため一度に大量生産することができない希少品です。2018年当時の価格は35,000円(+送料)。一生モノと考えれば私にとっては非常に安い買い物でした。皆さんも実物を手に取った時、そのあり得ない軽さに驚いてください。

購入先はコチラ→OFFICE MAGICANA

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