復刻版 トランプの不思議 -現代カード奇術入門-

書誌情報
著者 高木重朗
編注 松田道弘
発行所 株式会社東京堂出版
初版 2011/12/15
定価 2500円(168ページ)

Ⅰ序編
1章 カード(トランプ)奇術について
カードの歴史やスートの起源の説明など。
2章 使用するカードについて
3章 カード奇術の術語
4章 本書の解説の仕方

Ⅱ 基礎編 1章 カットとシャフル
1.カット
2.カットを用いる奇術
指先の不思議
最も基本的なカード当てです。

3.シャフル
a.ヒンズー・シャフル(Hindu Shuffle)
b.オーバーハンド・シャフル(Overhand Shuffle)
c.リフル・シャフル(Riffle Shuffle)
2章 嘘のカット(False Cut) と嘘のシャフル(False Shuffle)
1.嘘のカット
アメリカのジョージ・キャプラン(Jeorge Kapran)が1948年に発表した方法を改良したもの。
2.嘘のシャフル
a.ヒンズー・シャフルを用いる嘘のシャフル
b.リフル・シャフルを用いる嘘のシャフル
3.嘘のカットと嘘のシャフルを用いる奇術
スコークのシックなトリック
デックから適当に10枚ほど抜いてもらい、その中から一枚だけ心の中で覚えてもらいシャッフルしてからデックに戻しカットしますが、マジシャンはカードを当ててしまいます。

探偵するカード
観客が自分で操作して左右のポケットに入れたカードをマジシャンが自分の探偵カードに聞いて2枚とも当ててしまいます。

ささやくクイン
何枚もの裏向きのカードが何であるかをクイーンがマジシャンに囁いて教えてくれます。

3章 コントロール
1.トリプル・カット(Triple Cut)三重カット
2.コントロールを用いる奇術
飛び出すカード
観客にカードを1枚選んでもらいデックに戻して混ぜ、デックを帽子に入れて観客に持ってもらいます。マジシャンが帽子の底を指ではじくと観客の選んだカードだけがピョンっと空中に飛び出します。
ライジング カード
観客の選んだカードがハンカチで手に縛ったケースから抜け出てきます。仕掛けを必要としない即席バージョンです。
3.ダブル・カット(Double Cut)
4章 強制法
1.リフル・フォース(Riffle Force)
ヒューガードとキャプランの方法。
2.強制法を用いる奇術
灰は語る
観客に1枚のカードを選んでもらい、そのカードのスートと数を紙に書いて見えないように折りたたんでもらってから灰皿の上で燃やしてもらいます。マジシャンがその灰を腕に擦り付けると観客のカードのスートと数が浮かび上がります。即席カードマジックの傑作のひとつです。

思考の磁気転移
観客が選んだカードを磁気を起こしたマッチ棒で当てます。
盲目の奇術師
観客が選んだカードをマジシャンが目隠しをしたままで当てます。

5章 ダブルリフト(Double Lift)二重上げ
1.ダブルリフト
2.ダブルリフトを用いる奇術
エースの行方
長谷川智氏が考案したカード5枚でおこなうモンテ風の作品。観客はエースのカードの位置を当てることができません。
エレベーター カード
エドワード・マルロー(Edward Marlo)考案。発表した作品名は「ペネトレーション(Penetration)」。ダイ・バーノン(Dai Vernon)の「A-2-3」からヒントを得たとのこと。「エレベーター・カード(Elevator Card)」と名付け、プロットとして有名にしたのは改案者のビル・サイモン(Bill Simon)で、古典カード・マジックの傑作のひとつです。A、2、3のカードを抜き出して3の上にデックを置いて指を弾くと3のカードがデックの一番上に上がってきて、2のカードをデックの上に置くと今度はデックの一番下に移動し、最後はAをデックの中に差し込むと一番上に上がってきます。
6章 グライド
1.グライド
2.グライドを用いる奇術
手の下で変わるカード
観客に1枚のカードを選んでもらいデックの中に戻した後、関係ないカードを裏向きに置いて手で押さえてもらいます。選んだカードが何であるか言ってもらい、押さえているカードを表返すと関係なかったカードが選んだカードに変化しています。
4枚のエース
A4枚の山とそれ以外のカード4枚ずつで作った山を3つ作り、その中から観客が自由に選んだ山とAの山が一瞬で入れ替わります。
3.グライドを利用した強制法
7章 パーム (Palm)
1.パームについて
a.パームの姿勢
b.パームのカバーの仕方
2.パームの仕方
3.パームしたカードを1組のトップに置く方法
4.パームを用いる奇術
最後の1枚
観客に1枚のカードを選んでもらいデックに戻したあと、10枚のカードを抜き出しマジシャンのポケットに入れます。マジシャンと観客が交互にポケットの中からカードを1枚ずつ取り出していき、最後に残った1枚を観客の取り出させるとそれが観客が選んだカードです。

Ⅲ かあど まじっく あらかると
カードの輪
13枚のカードを裏向きで円形に並べ観客の好きなカードの上にコインを置いてもらいます。ここからマジシャンは後ろを向き観客の方を一切見ませんが、観客がコインを時計回りに移動させた数を当ててみせます。古い数理原理を応用して少し趣の違う作品に仕上げられています。
4枚の"2"
デックを観客が混ぜて半分くらいをマジシャンに渡してもらいます。互いにカードを背後に廻して2枚のカードを抜き出して交換し、後ろ手で自分の山に表向きに差し込みます。カードをテーブルの上に出して広げると4枚の2が表向きになっています。
カードと封筒
ポール・ルポール(Paul LePaul)考案。観客に1枚のカードを選んでもらいデックに戻したあと、もう1枚違うカードを別の観客に覚えてもらい、それを封筒に入れて封をします。デックを半分に分けてもらい、その間に封筒を挟んで何度かひっくり返します。すると封筒に入れたはずのカードが封筒の下に表向きで現れます。そして封筒の中を確認すると最初に観客が選んだカードが入っています。

類は友を呼ぶ
マーティン・ガードナー(Martin Gardner)考案。観客に1枚のカードを自由に選んでもらったあと、残りのデックを適当に3つの山に分け、選んだカードの数字と同じ枚数だけ操作させると、それぞれの山のトップから観客が選んだカードと同じ数字の3枚のカードが現れます。

不思議な入れ換え
高木重朗氏が考案。デックのトップカードを表返すとハートのAです。裏返してマジシャンの右ポケットに入れます。再びデックのトップカードを表返すとスペードのAです。裏返して今度はテーブルに置き観客に手でおさえていてもらいます。マジシャンがポケットからカードを出して見せるといつの間にかスペードのAになっており、観客の手の下のカードはハートのAに入れ替わっています。

無意識的読心術
ハリー・ロレイン(Harry Lorayne)考案。2組のデックを用意し、観客とマジシャンが持ちます。マジシャンはカードの表を見ながら1枚選びデックのトップに置きます。観客は表を見ずに1枚選びデックのトップに置きます。互いのデックを交換してからトップカードを表返すと同じカードなのです。

スリー カード モンテ
古くから大道芸で演じられている有名な手順です。解説は序盤のすり替え部分のみで、当たりカードの角を折り曲げるクライマックス手順までは解説されていません。
4枚のエース
エドワード・マルロー(Edward Marlo)考案。4枚のAをテーブルの上に裏向きに並べ、その上に他のカードを3枚ずつ重ねて4つの山を作ります。観客に好きな山を選ばせて、その山をひっくり返すといつの間にかAが4枚集まっています。

ホーミング カード
フランシス・カーライル(Francis Carlyle)考案。観客にカードを1枚選んで表にサインしてもらいます。マジシャンはズボンの右ポケットの内側を引き出して空っぽであることを示し、カードをデックの中に戻してもらいますが、いつの間にかサインカードはズボンの右ポケットに入っています。もう一度デックの中に入れますが再びズボンのポケットから現れます。

三重の一致
ジョン・スカーニ(John Scarne)考案(1945年)。裏模様の異なる2組のデックを用意し、観客とマジシャンがそれぞれをよく混ぜます。互いのデックから表を見ずに1枚抜き出し、相手のデックのトップに置いてカットする操作を3回繰り返します。デックを広げてその3枚を確認するとすべて一致しています。
