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復刻版 トランプの不思議 -現代カード奇術入門-

2022-07-26和書,日本語書籍,カード,ギャンブリング・デモンストレーション,クロースアップ,メンタル,初心者向け

書誌情報

著者 高木重朗
編注 松田道弘
発行所 株式会社東京堂出版
初版 2011/12/15
定価 2500円(168ページ)

ルーン
ルーン
1956年に力書房より出版された日本の近代マジック草創期を代表するカードマジック入門書です。高木重朗氏の死後(1991年)絶版となっていましたが、50年以上のブランクを埋めるため松田道弘氏が補注・注釈を付け加え、待望の復刻となりました。名作揃いの名著です。

Ⅰ序編 1章 カード(トランプ)奇術について
カードの歴史やスートの起源の説明など。

2章 使用するカードについて

3章 カード奇術の術語

4章 本書の解説の仕方

ルーン
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効果・準備・方法・注意の4つの項目に分けて解説する形式は、その分かりやすさから現在の多くの解説書でもスタンダードなスタイルとなっています。

Ⅱ 基礎編 1章 カットとシャフル

1.カット

2.カットを用いる奇術

指先の不思議

最も基本的なカード当てです。

ルーン
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この本に書かれている選んだカードを戻してカットしてもらう時の工夫は意外と知らない人も多く勉強になります。

3.シャフル
a.ヒンズー・シャフル(Hindu Shuffle)
b.オーバーハンド・シャフル(Overhand Shuffle)
c.リフル・シャフル(Riffle Shuffle)

2章 嘘のカット(False Cut) と嘘のシャフル(False Shuffle)

1.嘘のカット
アメリカのジョージ・キャプラン(Jeorge Kapran)が1948年に発表した方法を改良したもの。

2.嘘のシャフル
a.ヒンズー・シャフルを用いる嘘のシャフル
b.リフル・シャフルを用いる嘘のシャフル

3.嘘のカットと嘘のシャフルを用いる奇術

スコークのシックなトリック

デックから適当に10枚ほど抜いてもらい、その中から一枚だけ心の中で覚えてもらいシャッフルしてからデックに戻しカットしますが、マジシャンはカードを当ててしまいます。

ルーン
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原理そのものはシンプルで難易度低めな手順ですが、策略が非常に優れています。

探偵するカード

観客が自分で操作して左右のポケットに入れたカードをマジシャンが自分の探偵カードに聞いて2枚とも当ててしまいます。

ルーン
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解説を読むと当たり前すぎて本当に通用するのかと疑いたくなりますが、演者の方が驚くほど観客の大きな反応が返ってくる手順です。

ささやくクイン

何枚もの裏向きのカードが何であるかをクイーンがマジシャンに囁いて教えてくれます。

ルーン
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現象自体はただのカード当てなのですが、特定のカードを擬人化するという演出が加わるだけで観客にとってさらに興味深い作品になるという好例です。ただし、それなりに演技力は必要で、そこが最も難しいかもしれません。

3章 コントロール

1.トリプル・カット(Triple Cut)三重カット

2.コントロールを用いる奇術

飛び出すカード

観客にカードを1枚選んでもらいデックに戻して混ぜ、デックを帽子に入れて観客に持ってもらいます。マジシャンが帽子の底を指ではじくと観客の選んだカードだけがピョンっと空中に飛び出します。

ライジング カード

観客の選んだカードがハンカチで手に縛ったケースから抜け出てきます。仕掛けを必要としない即席バージョンです。

3.ダブル・カット(Double Cut)

4章 強制法

1.リフル・フォース(Riffle Force)
ヒューガードとキャプランの方法。

2.強制法を用いる奇術

灰は語る

観客に1枚のカードを選んでもらい、そのカードのスートと数を紙に書いて見えないように折りたたんでもらってから灰皿の上で燃やしてもらいます。マジシャンがその灰を腕に擦り付けると観客のカードのスートと数が浮かび上がります。即席カードマジックの傑作のひとつです。

ルーン
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現在は便利な文房具が売られているので準備が楽ですね♪

思考の磁気転移

観客が選んだカードを磁気を起こしたマッチ棒で当てます。

盲目の奇術師

観客が選んだカードをマジシャンが目隠しをしたままで当てます。

ルーン
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ここで書かれているコツは目隠しを使う演技の時にとても大事です。

5章 ダブルリフト(Double Lift)二重上げ

1.ダブルリフト

2.ダブルリフトを用いる奇術

エースの行方

長谷川智氏が考案したカード5枚でおこなうモンテ風の作品。観客はエースのカードの位置を当てることができません。

エレベーター カード

エドワード・マルロー(Edward Marlo)考案。発表した作品名は「ペネトレーション(Penetration)」。ダイ・バーノン(Dai Vernon)の「A-2-3」からヒントを得たとのこと。「エレベーター・カード(Elevator Card)」と名付け、プロットとして有名にしたのは改案者のビル・サイモン(Bill Simon)で、古典カード・マジックの傑作のひとつです。A、2、3のカードを抜き出して3の上にデックを置いて指を弾くと3のカードがデックの一番上に上がってきて、2のカードをデックの上に置くと今度はデックの一番下に移動し、最後はAをデックの中に差し込むと一番上に上がってきます。

6章 グライド

1.グライド

2.グライドを用いる奇術

手の下で変わるカード

観客に1枚のカードを選んでもらいデックの中に戻した後、関係ないカードを裏向きに置いて手で押さえてもらいます。選んだカードが何であるか言ってもらい、押さえているカードを表返すと関係なかったカードが選んだカードに変化しています。

4枚のエース

A4枚の山とそれ以外のカード4枚ずつで作った山を3つ作り、その中から観客が自由に選んだ山とAの山が一瞬で入れ替わります。

3.グライドを利用した強制法

7章 パーム (Palm)

1.パームについて
a.パームの姿勢
b.パームのカバーの仕方

2.パームの仕方

3.パームしたカードを1組のトップに置く方法

4.パームを用いる奇術

最後の1枚

観客に1枚のカードを選んでもらいデックに戻したあと、10枚のカードを抜き出しマジシャンのポケットに入れます。マジシャンと観客が交互にポケットの中からカードを1枚ずつ取り出していき、最後に残った1枚を観客の取り出させるとそれが観客が選んだカードです。

ルーン
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とても不思議で効果的なマジックです。最初から10枚を適当に抜き出してもらい、その中から1枚のカードを選んでもらった方がスッキリして良いかもしれません。適したポケットが無い服装の場合は封筒や布袋などで演じることも出来ます。というか、その方が楽に演じられます。

Ⅲ かあど まじっく あらかると

カードの輪

13枚のカードを裏向きで円形に並べ観客の好きなカードの上にコインを置いてもらいます。ここからマジシャンは後ろを向き観客の方を一切見ませんが、観客がコインを時計回りに移動させた数を当ててみせます。古い数理原理を応用して少し趣の違う作品に仕上げられています。

4枚の"2"

デックを観客が混ぜて半分くらいをマジシャンに渡してもらいます。互いにカードを背後に廻して2枚のカードを抜き出して交換し、後ろ手で自分の山に表向きに差し込みます。カードをテーブルの上に出して広げると4枚の2が表向きになっています。

カードと封筒

ポール・ルポール(Paul LePaul)考案。観客に1枚のカードを選んでもらいデックに戻したあと、もう1枚違うカードを別の観客に覚えてもらい、それを封筒に入れて封をします。デックを半分に分けてもらい、その間に封筒を挟んで何度かひっくり返します。すると封筒に入れたはずのカードが封筒の下に表向きで現れます。そして封筒の中を確認すると最初に観客が選んだカードが入っています。

ルーン
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人体交換イリュージョンに模して演じると面白いかも♪

類は友を呼ぶ

マーティン・ガードナー(Martin Gardner)考案。観客に1枚のカードを自由に選んでもらったあと、残りのデックを適当に3つの山に分け、選んだカードの数字と同じ枚数だけ操作させると、それぞれの山のトップから観客が選んだカードと同じ数字の3枚のカードが現れます。

ルーン
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原題は「5.9.K」。準備が必要ですが、とても不思議な名作です。

不思議な入れ換え

高木重朗氏が考案。デックのトップカードを表返すとハートのAです。裏返してマジシャンの右ポケットに入れます。再びデックのトップカードを表返すとスペードのAです。裏返して今度はテーブルに置き観客に手でおさえていてもらいます。マジシャンがポケットからカードを出して見せるといつの間にかスペードのAになっており、観客の手の下のカードはハートのAに入れ替わっています。

ルーン
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カードマジックのオープニングに適しており、そのまま後述の「ホーミング・カード」に繋げることができます。

無意識的読心術

ハリー・ロレイン(Harry Lorayne)考案。2組のデックを用意し、観客とマジシャンが持ちます。マジシャンはカードの表を見ながら1枚選びデックのトップに置きます。観客は表を見ずに1枚選びデックのトップに置きます。互いのデックを交換してからトップカードを表返すと同じカードなのです。

ルーン
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原理はシンプルですが、観客にはこれ以上ない衝撃を与える作品です。

スリー カード モンテ

古くから大道芸で演じられている有名な手順です。解説は序盤のすり替え部分のみで、当たりカードの角を折り曲げるクライマックス手順までは解説されていません。

4枚のエース

エドワード・マルロー(Edward Marlo)考案。4枚のAをテーブルの上に裏向きに並べ、その上に他のカードを3枚ずつ重ねて4つの山を作ります。観客に好きな山を選ばせて、その山をひっくり返すといつの間にかAが4枚集まっています。

ルーン
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マジシャンズ・チョイスの原理も分かりやすく解説されています。

ホーミング カード

フランシス・カーライル(Francis Carlyle)考案。観客にカードを1枚選んで表にサインしてもらいます。マジシャンはズボンの右ポケットの内側を引き出して空っぽであることを示し、カードをデックの中に戻してもらいますが、いつの間にかサインカードはズボンの右ポケットに入っています。もう一度デックの中に入れますが再びズボンのポケットから現れます。

ルーン
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超名作です。みんなで演じましょう。

三重の一致

ジョン・スカーニ(John Scarne)考案(1945年)。裏模様の異なる2組のデックを用意し、観客とマジシャンがそれぞれをよく混ぜます。互いのデックから表を見ずに1枚抜き出し、相手のデックのトップに置いてカットする操作を3回繰り返します。デックを広げてその3枚を確認するとすべて一致しています。

ルーン
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「無意識的読心術」の不可能性をさらに上げたような作品です。観客が1人なら「無意識的読心術」で充分だと思いますが、複数人いることが分かっているなら1人ずつ1枚選んでもらうのも、ショーのクライマックスとしてなかなか盛り上がると思います。

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