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新版ラリー・ジェニングスのカードマジック入門

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目次

書誌情報

著者 加藤英夫
編著 下村知行
発行者 山田昭
発行所 株式会社テンヨー
改訂新版 1993/04/20(旧版は1972年)
定価 3,670円(192ページ)

ルーン
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初版から20年を経て、旧版では解説されなかった技法、作品、日本人トップ・クリエイターによるカード・マジックの傑作が追加されてグレードアップした本が、この『新版ラリー・ジェニングスのカードマジック入門』です。まず基本となる技法の解説から始まり、その後覚えた技法を応用した作品を解説するという流れになっており、ひとつずつ技法を身につけることが出来るように構成されています。ただ入門書にしては難易度高めな技法やマニアックな作品が多く、殆どカードを触ったこともないような本当の意味での初心者には少々難し過ぎる本であり、ある程度基本を学んだ中級者が本格的カード・マジックの世界により深く踏み入るには丁度良い一冊だと思います。また名著ではあるものの、読み手に誤解というか余計な呪縛のようなものも与えかねない内容も多く、ここではそういった点も踏まえて内容を紹介していきます。

第1章「基本的カード保持法」
ディーリング・ポジション
ビドル・ポジション

第2章「ブレーク」
ブレーク
ブレークの作り方①
ブレークの作り方②
ブレークの作り方(ピンキーカウント)③
右手でブレークを保持する方法

第3章「スプレッド」
両手の間のスプレッド
リボンスプレッド
スプレッドのターンオーバー

①おぼえたカード

演者はカードを両手の間で広げ、観客にどれか1枚のカードに触ってもらいます。観客がそのカードを覚えた後、演者はデックをよく混ぜてテーブルに表向きに広げます。演者は集中した後1枚のカードを抜き出しますが、それが観客が覚えたカードです。

ルーン
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基本的なカード当てですが、簡単で効果的なカードの混ぜ方を覚えることができます。

②失敗は成功のもと

観客に1枚のカードを覚えてもらった後、演者がよく混ぜます。おまじないをかけてテーブルに裏向きに広げると1枚のカードが表向きになっていますが、それは観客が覚えたカードではありません。しかしその表向きのカードの数字と同じ枚数だけカードを捲ると観客が覚えたカードが現れます。

ルーン
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「①おぼえたカード」のサッカートリック・バリエーションです。観客のカードまでの枚数目に対応した数字のカードが表向きになる演出はグラント(U.F. Grant)のアイデアです。

【2人の会話その1】

ルーン
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良くも悪くも日本カード・マジック界に大きな影響を及ぼした有名なコラムです。これにより多くの日本人マジシャンがブリッジ・サイズからポーカー・サイズへとデックを持ち替えました。私はマジック道具という物は、見映えも大事ですがまず演者本人が最も扱いやすいのが肝心だと思っています。

第4章「カット」
カットの方法①
カットの方法②
ダブルカット

ルーン
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備考の項目で、ダブルカットを用いた安易なコントロールがマジシャンの間で流行したことについてダイ・バーノンが発表を後悔したというエピソードが語られています。便利な道具ほど安易に使われがちなのは世の常ですが、ことマジックの技法に関しては時と場合を踏まえた適切な使い方を常に考える必要があると思います。

第5章「オーバーハンドシャフル」
オーバーハンドシャフル
トップからボトムへ・ボトムからトップへ
ボトムカードスリップ
ラン
インジョッグ・アンダーカット
オーバーハンドシャフルによるコントロール

第6章「リフルシャフル」
リフルシャフル
トップカード・ボトムカードのグリンプス
トップカード・ボトムカードを動かさない方法

第7章「コントロール」
オーバーハンドシャフルによるコントロール
クリンプカードによるコントロール

③フラリッシュエスケープ

観客が1枚のカードを覚えて、演者はそれをデックに戻し、よく混ぜます。デックをカードケースの中にしまい、空中に投げ上げると1枚のカードが右手に残っており、それが観客が覚えたカードです。

ルーン
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カード・マジックを覚えたての頃にとてもよくお世話になった作品です。観客の目線はイヤでも空中に投げ上げたケースを追い、左手で受け止めるまでその束縛から逃れられません。その後ふと演者の右手を見ると覚えたカードを持っているのですから、これは衝撃です。今でも時々演じますが、演者が思っている以上に現象効果の大きい名作です。

第8章「パス」
クラシックパス
リフルパス
パスによる客のカードのコントロール
ブレークの作り方

④探偵カード

観客が1枚のカードを覚えて、演者はそれをデックに戻し、よく混ぜます。デックのトップ・カードを表向きにして「このカードが探偵です。」と説明し、カットしてデックの中に混ぜます。さらにもう1枚トップ・カードを表向きにして「このカードは探偵の助手です。」と説明し、再びカットしてデックの中に混ぜます。デックをテーブルに広げると先ほどの2枚の表向きカードが1枚の裏向きカードを挟んでおり、それが観客が覚えたカードです。

ルーン
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トラップド、またはサンドイッチ・カードに分類されるカード当てです。4つ目の応用マジックにして早くも超高難度技法であるパスを使用する作品です。パスを使わなくてもある程度不思議に見える作品ですが、やはりパスが適切に使われた場合は圧倒的に不思議です。

第9章「パーム」
パーム
トップパーム
トップへのリプレイスメント:エド・マルローの方法
リプレイスメントコントロール:ダイ・バーノンの方法
ギャンブラーズボトムパーム

⑤ポケットの中のカード

観客に好きな数を心の中で決めてもらい、演者が後ろを向いている間にデックの上からその数字と同じ枚数目のカードを見て覚えてもらいます。演者はデックを受け取り、後ろ手でデックから1枚のカードを抜き取りポケットに入れます。観客に思った数を言ってもらい、その枚数目を見ると観客が覚えたカードではありません。演者がポケットの中にあるカードを出すと、それが観客が覚えたカードです。

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観客の心の隙を突いてパームを使用する手順構成になっているので、パームの練習曲としてちょうど良い作品です。ただ、この手の「数字を決めてから、その枚数目のカードを覚えて、デックを元通りの状態に戻す。」といった指示は観客が混乱しがちでアクシデントが起こりやすいので、個人的には「適当なところでカードを持ち上げ、枚数を数えて、揃えたら一番下のカードも見て覚え、デックの上に戻す。」という指示が比較的安全のような気がします。

第10章「ダブルリフト」
バーノンのダブルリフト
バーノンのダブルリフトのバリエーション
ダブルリフト・ヒットメソッド:ラリー・ジェニングスの方法
トリプルリフト・マルティプルリフト
=ダブルリフトを使った応用例=
Ⅰ.変化の効果
Ⅱ.交換の効果
Ⅲ.移動の効果
Ⅳ.リバース効果
Ⅴ.移動効果 – カード当ての場合

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ここも誤解を多く生んだ項目です。「よくない」ダブルリフトとして縦向きに返す方法(いわゆるバーティカル・ターンオーバー)を挙げているのですが、これは縦向きに返すのがよくないのではなく、その前段階の準備(ゲットレディ)がよくないという意味です。技法は適切な使い方が大事ということが、ここでも理解できます。

⑥スローイングカードスタブ

観客が1枚のカードを覚えて、演者はそれをデックに戻し、よく混ぜます。デックの一番上のカードを表向きにしますが、それは観客のカードではありません。演者は表向きのカードを右手に取り、左手の親指でデックをパラパラと弾いて落としていき、狙いを澄まして右手の表向きカードをデックの中に投げ入れます。デックをテーブルに広げて先ほど投げ入れた表向きカードの隣のカードを見ると、それが観客の覚えたカードです。

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作者の加藤英夫氏は「あまりにもあたりまえの方法なので、そのオリジナリティーは認めてもらえないかも…」と書いていますが、私はとても優秀な作品だと思います。準備がいらないので急に何か見せてと言われた時によく演じていますが、現象の分かりやすさと如何にも凄い技に見えるので相手にとても驚かれます。

【技法の組み合わせ<アンビシャスカード>】

ルーン
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この本で解説されている技法を使ったアンビシャスカード手順の一例を簡単に紹介しています。

【2人の会話 その2】

ルーン
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自分のアイデアが、とっくの昔に誰かに考え出されていたというクリエイターあるあるなお話…(^^;)

第11章「グライド」
グライドによるチェンジ
グライドによるフォース
グライドによるフォールスカウント

⑦ストップカード

観客が1枚のカードを覚えて、演者はそれをデックに戻し、よく混ぜます。デックのトップから1枚ずつカードを表向きにしていきます。観客が好きなタイミングでストップをかけ、次のカードを表向きにすると観客が覚えたカードです。

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ヘンリー・クライスト考案。カードを当てる原理は前述の「スローイングカードスタブ」とほぼ同じですが、演者がカードを当てるのではなく観客自身が当てるという印象の違う不思議さがあります。

⑧笑ってください

観客が1枚のカードを覚えて、演者はそれをデックに戻し、よく混ぜます。観客にデックを3つの山に分けてもらい、それぞれの山の底にあるカードを見せて「これら3枚はどれもあなたが覚えたカードではありません。」と言って3枚のカードをテーブルの脇に裏向きで置いておきますが、その内の1枚が観客のカードです。観客に好きな数字を言ってもらい、その枚数目のカードを表向きにするとなんとそれが観客のカードです。テーブルの3枚のカードを確認してみるとそこに観客のカードはありません。

ルーン
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うーん…デックを3つの山に分ける理由が明確ではないのと、そもそもサッカートリック自体が初心者には難しく、特にこの作品は失敗したように見せてからフォローするまでの時間が長いので「②失敗は成功のもと」より難易度が高くなっています。初心者がこの作品をそのまま演じてもケガをすることが多いように思いますので、あまりオススメできない作品です…(^^;)

第12章「シークレットアディション」
シークレットアディション①
シークレットアディション②:エド・マルローの方法
シークレットアディション③:ラリー・ジェニングスの方法
プッシュオフによるマルティプルリフト
シークレットアディション④:加藤英夫の方法

⑨フォーエース

演者は4枚のAを裏向きに並べ、それぞれのAの上に他のカードを3枚ずつ乗せていき、4つの山をつくります。観客に好きな山を選んでもらい、おまじないをかけてその山の4枚のカードを表向きにすると全てAになっており、他の山からはAが消えています。

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エド・マルローの作品。4つの選択肢からおこなうマジシャンズ・チョイス(加藤英夫氏のバリエーション)も解説されています。

第13章「チェンジ」
トップチェンジ
ホフジンサーの方法にもとずくトップチェンジ
メキシカンターンオーバー
ボトムトップチェンジ:加藤英夫の方法

⑩よんぶんのいちの奇蹟

デックを混ぜて16枚のカードを取り、そこから4枚のカードを自由に選び、4枚の中から1枚だけ心の中で覚えてもらいます。16枚のカードをよく混ぜたあと8枚ずつ2組のパケットに分け、どちらに観客のカードがあるかを確認します。ある方のパケットを1枚ずつ配っていくと最後に観客が心の中で思ったカードが残ります。

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分岐点がいくつかある長く複雑な手続きを経たうえでカードを当てる確率が4分の1というのは、心の中で思ったカードという点を差し引いても少々労力に見合わない気がしました。工夫にもよるのでしょうが8枚のダウンアンダー(あるいはアンダーダウン)はやっても1回が限界かなぁと…(^^;)

第14章「フォールスカウント」
バックルカウント:ダイ・バーノン
テーブルへのバックルカウント
ビドルムーブ:エルマー・ビドル
ビドルムーブによるフォールスカウント①
ビドルムーブによるフォールスカウント②

⑪赤と黒のミステーク

観客に1枚のカードを覚えてもらい、演者はデックから4枚の候補を抜き出します。「あなたが選んだカードは赤色だと思うので、まず4枚の赤いカードに絞りました。」と言い、赤いカード4枚の表を観客に見せた後、テーブルに裏向きに並べ、観客にどれか1枚を選んでもらいます。観客に選んだカードが何か聞くと、なんと黒いカードでした。失敗したかに思われましたが、選ばれたカードを表向きにするといつの間にか観客の黒いカードに変化しています。

ルーン
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「⑩よんぶんのいちの奇蹟」でも分かるように加藤英夫氏はこのタイプのサッカートリックがお好きなようです。このタイプというのは、マジシャンが間違えていることに気づかないまま手順が進んでいき最後に間違っていなかったという演出のことです。これは真面目な観客がマジシャンの間違いに気付いた時点でうっかり訂正されてしまう恐れがあるので、観客のコントロールが上手くできる上級者でなければリスクの高いマジックです。その点「②失敗は成功のもと」の場合、同じサッカートリックでも間違えたことが判明した後にすぐフォローが入り観客のカードが当たるので、それほど難しくはなく初心者でも無理なく演じられると思います。

⑫フォーエースプロローグ

観客が選んだ1枚のカードはAでした。そのAをデックの中に表向きに入れ、おまじないをかけてからテーブルに広げると残り3枚のAも表向きに集まっています。

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簡単で使い勝手の良い4Aプロダクションです。「⑨フォーエース」のような4枚のAを使うマジックの前に演じるとオシャレで良い流れになると思います。

【2人の会話 その3】

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マジックで女の子にモテたいという願望は世界共通のようです。モテるモテないは別にしても、ネタのチョイスや演じ方を間違えなければ距離を縮めるきっかけくらいにはなると思います。あとは本人と相手の相性次第で、こればかりはどうにもならないですけど…(^^;)

第15章「リバース」
ボトムカードリバース
ロテイティングカードリバース:ラリー・ジェニングス
アクションリバース:ダイ・バーノン

⑬あなたの後で

観客にカードを渡し後ろ手に持ってもらいます。1枚のカードを覚えてもらい、後ろ手でカードの束の中に差し入れ、ケースにしまってもらいます。演者はそのカードを言い当て、ケースから出したカードを広げると観客のカードだけが表向きになっています。

ルーン
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とても良いオススメ作品ですが、書かれていない注意点がいくつかあります。
①手伝ってくれる観客の後ろを他の観客が覗けないようにすること。当然ながら覗かれるとタネがバレます。1対1なら問題ありませんが観客が複数いる時は手伝ってくれる観客に演者の隣まで出てきてもらって、他の観客に背中が見えないような角度で演じる必要があります。テーブルの下でやってもらう方法もあります。
②観客にカードを渡す前に、一番上のカードが「観客自身が好きなところで分けて選んだカード」であると認識させること。これを言っておかないと何故一番上のカードじゃないとダメなのか?と思われる可能性があります。
③観客に指示をおこなう際に、残りのカードを演者が持って実際にやってみせること。後ろ手の操作というのは普段やらないだけに観客が混乱しやすくミスも起こりやすくなります。残りのカードを演者が持って実際にやってみせながら指示をすることでリスクが大幅に減ります。
あとは備考1に書いてあることも大事です。ちなみに私は観客のカードを言い当てたあと「なぜ簡単に当てられたか?それには理由があります。あなたのカードだけ表向きになっているからです。」と言いながらカードを広げています。

第16章「クリンプ、ブリッジ」
クリンプ①
クリンプ②
クリンプ③
メキシカンジョーのクリンプ
クリンプカードからのカット
タテのブリッジ
ヨコのブリッジ

⑭最後の1枚

16枚のカードの中から観客が1枚のカードを覚えてよく混ぜます。演者がおまじないのような数え方をすると最後に残ったカードが観客が覚えたカードです。

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ダウンアンダーを使ったカード当てですが、16枚だと単調な操作をする時間が長過ぎるので、私は半分の8枚くらいが丁度よい気がします。

⑮ソルトレス

観客が覚えた1枚のカードをちょっとアクロバティックな方法で当てます。

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新品のデックだと滑りが良過ぎて、投げ上げた時にカードがバラバラになるかもしれないので注意が必要です。(やらかした人(笑))

⑯コインカット

観客が1枚のカードを覚えてデックに戻します。演者は1枚のコインを取り出し、おまじないをかけて消してしまいます。テーブルのデックを2つにカットすると下半分のカードの上に先ほどのコインが乗っています。コインの下にあるカードを見ると観客のカードです。

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ラリー・ジェニングス考案。私は備考に書かれている方法が好みで、そちらをよく演じています。

第17章「グリンプス」
トップカードグリンプス①
トップカードグリンプス②
トップカードグリンプス③
ボトムカードグリンプス①
ボトムカードグリンプス②
センターカードグリンプス①
センターカードグリンプス②

⑰イモーショナルリアクション

デックを観客によく混ぜてもらい、好きなカードのところでデックを分け、そのカードを胸に当てて強く心に思ってもらいます。そのカードが見えないように他のカードの中に混ぜて返します。観客は絶対に当てられないと思いますが、演者は見事そのカードを当ててみせます。

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言わずと知れたダイ・バーノンの傑作です。ちょっとしたことなのですが、ひとつ補足すると、私はカードを当てる時にまず「わかりました。」と言ってから、そこではじめてカードを広げて観客のカードを抜き出すようにしています。その方が観客の心を読み取ったという演出に説得力が増すからです。

【2人の会話 その4】

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演技中の種明かしに警鐘を鳴らしていますが、私はエンターテイメントとして考え抜かれた「種明かし風」の面白い演技であれば充分アリだと考えています。もちろん観客に笑われるだけだったり観客をがっかりさせるだけの安易な種明かしは嫌いです。

第18章「フォース」
クラシックフォース
リフルフォース

⑱4枚の一致

観客に1枚のカードを選んでもらった後、残りのデックをよく混ぜてもらいます。演者はデックをポケットに入れて中から3枚のカードを抜き出します。それがすべて観客が選んだカードと同じ数字のカードなのです。

ルーン
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原案はジョン・スカーニの「Four Aces from Pocket」で、アレンジは加藤英夫氏です。原理そのものは呆れるくらいシンプルですが、こういうものほど実演の場では思いがけぬほど効果的だったりするので、マジックというのは本当に不思議なものです。個人的にはデックを入れたポケットから3枚のカードを抜きだした後にすべてのカードをオープンするほうが効果的な気がします。

第19章「ティルト」
ティルト

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ティルトは深さや奥行きの錯覚を利用した優れた技法ですが、その歴史は複雑です。ティルトと名付けて有名にしたのはエドワード・マルローですが、著書の中で「ダイ・バーノンも偶然この技法と同じものを、私が考えつく2週間ほど前に考えた。」と述べており、バーノンの方法を教わったコンラッド・ブッシュがこの技法をデプス・イリュージョンと名付けています。また方法は少し違いますが、深さや奥行きの錯覚原理を利用した技法は、それ以前にエドワード・ビクターも考案しています。マルローのティルトとバーノンのデプス・イリュージョンの方法に大きな違いは無く、度々論議が交わされましたが、現在はビクターが原点で、バーノンが現代おこなわれている方法を確立し、マルローが発展・有名にしたという形で一般的にはティルトの名称で落ち着いているようです。

⑲小さな奇跡

デックのトップカードを観客に見せて覚えてもらいます。そのカードをデックの中に入れて再びトップカードを見せます。当然先ほどのカードとは別のカードですが、デックの上で2回擦ると先ほどのカードに変化します。もう一度擦ると、また別のカードに戻っています。

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シンプルで効果的なショート・トリックです。現在だとトップチェンジよりもダブルリフトを使った方がスマートかもしれません。

⑳パックの中のトランスポ

観客にデックから1枚のカードを選んでもらい、そのカードを表向きにしてデックの中央に差し込みます。デックのトップカードを表向きにして別のカードであることを見せた後、それを裏向きで擦ると先ほど観客が選んだカードに変化します。デックを広げるとさっき見た別のカードが観客のカードが表向きで現れます。

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鮮やかな交換現象ですが「別のカード」はジョーカーなど分かりやすいカードを用いた方が観客に現象が伝わりやすいと思います。また最後の現象の前に、観客のカードをデックの中央に差し込む動作は意味不明且つ不自然なので、パスを使うかこの後に出てくる技法のカラーチェンジでトップに出現させるかした方が良いと思います。

第20章「そのほかの技法」
ドリブルオフ
シークレットサブトラクション
ダブルカードプットダウン
ブレークをなくさないターンオーバー
チャーリャーパス(ワンハンドパス)
カラーチェンジ

第21章「そのほかの技法2」
エルムズレイカウント
ジョーダンカウント
ハーマンカウント
フラシュトレーションカウント

【カードマジック傑作選】

オープントラベラー(ラリー・ジェニングス)

デックから4枚のAを抜き出し、テーブルにスペードのAを置きます。他の3枚のAを1枚ずつ消して見えなくした状態でスペードのAの所に全てのAを移動させます。

ルーン
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現在は「インビジブル・パーム・エーセス」が正式名称となっています。詳しくはこちらをどうぞ。複雑な事情で物議を醸した作品ではありますが、エース・アセンブリ系作品の中でも傑作であることに間違いはありません。

ファイナルタッチ(ラリー・ジェニングス)

8枚のカードの中から観客が1枚を選んで覚えます。演者はカードを絞っていき最後の1枚が観客のカードであると主張しますが観客は違うと言います。それでも演者は「お金を賭けてもいい。」と言い張り、最後にそのカードを表返すといつの間にか観客のカードに変化しています。

ルーン
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サッカートリックそのものの難しさに加えて難しい技法も使用するので、かなり難易度の高い作品になっています。またお金を賭けてもいいとお金を取り出す演出は現代の日本にはあまりそぐわない気もします。私だったら無理せずデックのトップに戻してから無難に変化させます。(^_^;)

おかしな出来事(ラリー・ジェニングス)

4枚のAが次々と1枚ずつ順番に裏返っていき、また全て表向きになります。

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バーノンの「ツイスティング・ジ・エーセス」とはまた違った趣のあるパケット・トリックです。シンプルな構造なので現在のパケット・トリックの複合現象と比べると物足りない感じがありますが、ツイスト現象の基本となる原理のひとつです。

ギャンブラーズ エーセス(ラリー・ジェニングス)

4枚のAをデックにバラバラに差し込んで、半分を裏、半分を表にしてシャッフルします。おまじないをかけると、すべてのカードが裏向きに揃い、4枚のAだけが表向きになっています。

ルーン
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トライアンフ現象と組み合わせた4A・リビレーションです。イロジカルな手法を用いますが自然なハンドリングの中に上手く埋没されているので目立ちません。とはいえ無言でやるとバレやすくなるので観客の方を見ながら「今から4枚のAを使います。」といった適切なセリフや目線は必要だと思います。

オブザベーションインカラー(ラリー・ジェニングス)

2人の観客にカードを1枚ずつ選んで覚えてもらいます。デックをよく混ぜて演者が5枚のカードを選ぶと、その中に1人目のカードが含まれています。5枚のカードにおまじないをかけると1人目のカードがひっくり返ります。向きを戻しても何度もひっくり返ります。最後にひっくり返ったカードにおまじないをかけると、そのカードは2人目のカードに変化しています。

ルーン
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繊細なコントロールやダブルバックルといった高度な技法を必要とする難易度の高い作品です。

ダブルバックルカウント
ピーク

リーピング ジ エーセス(ラリー・ジェニングス)

観客が自由にカットした4つの山から、Aがそれぞれ出てきます。

ルーン
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シンプルですが、インパクト抜群の現象です。ここでも少々大胆な技法(ジェニングス流スリップスイッチ)が使われますが、それほど難しくはなく、とても鮮やかに4枚のAが出現したように見えます。

プリフィギャレーション(ラリー・ジェニングス)

観客がよく混ぜたデックから演者が1枚のカードを予言として裏向きで置いておきます。そして観客が自由に選んだカードと、そのカードの数と同じ枚数目にある2枚のカード。合計4枚のカードの数がすべて一致します。

ルーン
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数多くある、フォー・オブ・ア・カインド・リビレーション系の作品の中でも、セット無しの即席で演じることが出来る名作です。トム・オグデンの改案がより優れており、『カードマジック入門事典』(東京堂出版、高木重朗・麦谷眞里編)の236ページに解説されているので、本を持っている人は是非読んでみましょう。オススメです。

まぼろしの訪問者(ラリー・ジェニングス)

4枚のQを抜き出し、赤2枚と黒2枚に分けて、観客が選んだカードを黒2枚の表向きQの間に挟みます。すると一瞬で、もう一方の赤Q2枚の間へと観客のカードが移動し、驚いているといつの間にか最初の黒Q2枚の間に観客のカードが戻っています。

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原案名は「ビジター」と呼ばれ、一度ならず二度もあり得ない瞬間移動現象が起こる傑作です。これも『カードマジック入門事典』の190ページに原案が解説されています。手順は殆ど同じですが、入門事典の方は1回目の黒Q2枚の間に移動した時に説得力を高めるディスプレイのアイデアが載っており、テンヨー本ではその部分がカットされています。興味がある人は確認してみてください。

東京湾の「水と油」(加藤英夫)

表と裏を交互に混ぜたカードが何もしていないのにいつの間にか分離して、また混ざります。

ルーン
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赤と黒ではなく表と裏でおこなうオイル・アンド・ウォーターなので、いつでもデックのトップから配ってスピーディーに演技を始められる利点があります。このプロットの一般的なスライト解決法とは一線を画し、少し独特な技法を使いますが、ハンドリングは自然で怪しさを感じさせません。ラリー・ジェニングスが完全に騙されたというのも納得です。

コメディ ダンバリーディリュージョン(加藤英夫)

観客が選んだカードの情報を少しずつ突き止めていきます。あわや失敗か?と思われたところで見事に当ててしまいます。

ルーン
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原案は『Expert Card Technique』で解説されたチャーリー・ミラーの「The Dunbury Delusion」で、とても有名なサッカートリックです。サッカートリックは演じる際、真に迫った雰囲気や惚けた感じ、わざとらしさなどの匙加減が難しいのですが、加藤英夫氏の改案は観客が選んだカードが一番最後に登場するので原案ほど惚ける必要が無く、比較的演じやすいと思います。

ファクシミリ(沢浩)

観客が選んだカードをデックの中に押し込むと、ファクシミリのようにカードが転送されて、伸ばした手の指先に現れます。

ルーン
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沢浩氏らしいユニークで面白いマジックです。現在はファクシミリという名称が一般的に通用するかというと難しくなってきた感がありますが、そこはメールや宅急便、郵便などに置き換えても充分演じられますので心配はいらないと思います。それよりもこの作品は技法の難易度が高く、怪しまれずスムーズに演じるにはかなりの熟練度を要します。

コンビンシングカードコントロール
バックパーム

タイクーン エーセス(前田知洋)

一般的なフォーエースのように、全てのエースがリーダーとなるエースの所に集まっていきますが、最後に意外なエンディングが待っています。

ルーン
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クラシックの風格を持った4Aです。他の4A作品と比べても難易度が特別高い訳ではなく、比較的演じやすい部類に入ると思います。

コンボカウント

心の中で(鈴木徹)

観客にデックから2枚のカードを自由に選んで、その数を足して覚えてもらいます。デックから1枚ずつ表向きに配っていき、先ほどの数字の枚数目にあるカードを心の中で覚えてもらいます。その後、すぐにデックを混ぜますが、それでも演者はそのカードを当ててしまいます。

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非常に不可能性の高いカード当てです。ただし、このタイプの作品によくあるようにカードを当てるまでの手続きが長く複雑なので、如何にして観客を飽きさせないように工夫して演じるかが大事になってきます。ましてやこの作品は準備が必要な為、ショーであれば最初に演じることになるかと思いますが、果たしてこの作品はオープニングに最適か?というとかなり疑問ではあるので、そのあたりの工夫も必要でしょう。

ダブルダウン(片倉雄一)

デックから適当に選んだ4枚のカードが一瞬で4枚のKに変化して、さらに今度は4枚のAに変化します。手には一切余分なカードは持っていません。

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カードが2連続で変化するという派手な現象なのに手順構成がそれほど重たくありません。ミスディレクションが効果的に働くように考え抜かれており、しかもエンドクリーンという傑作です。作者である片倉氏ご本人が演じると本当の魔法のようだったそうで、もう実際に見ることができないのが大変悔やまれます。

ハーレムダンジョン(下村知行)

既に4枚のQが入っているカードケースの中に観客が選んだカードが一瞬で「侵入」します。しかし、それだけではなく予想外の結末が待っています。

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周到な用意と巧妙な技法により、ステージでおこなわれるイリュージョンのような大掛かりな現象を起こせます。それでいて難易度はそれほど高くはありません。

オプティカル・アド・オン

インターナショナルカードトリック(近藤博)

演技はちょっと変わったフォーエースから始まります。そして次から次へとフォー・オブ・ア・カインドが出現していき、最終的に52枚全てのカードとジョーカー2枚までもが出現します。

ルーン
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デビッド・ロスが「今まで見た中で最高のカードマジックだ。」と言ったという壮大な現象の作品です。難易度は高くないのですが、とにかく手順が長くて覚えるのが大変でして…よくもまあ、ここまで纏めたものだと感心します。しかしショーの最後にこれを演じたら、観客の満足度はかなり高いと思われますので、頑張って覚える価値はあるかもしれません。

スルー・ザ・フィスト・フラリッシュ

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