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高木重朗の不思議の世界

2022-07-04和書,日本語書籍カップ&ボール,カード,クロースアップ,コイン,サロン・パーラー,シルク,ステージ,リンキング・リング,ロープ,日用品・その他

目次

書誌情報

著者 リチャード・カウフマン
訳 二川滋夫、池田信彦、三好良、志村浩、乃坂智之

発行所 東京堂出版
初版 1992/05/10
定価 2,600円(141ページ)

ルーン
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1990年にアメリカでリチャード・カウフマン(Richard Kaufman)の手により出版された『THE AMAZING MIRACLES OF SHIGEO TAKAGI』の逆輸入となる和訳本です。カード、コイン、ロープ、リングなど幅広いジャンルで25作品が解説されており、このボリュームで、駄作無しで、この金額はハッキリ言って安いです!

①デビリッシュリー・ダイレクト(Devilishly Direct)

2人の観客が1枚ずつカードを選び、デックに戻してからよく混ぜられます。演者はカードを絞ると言い、5枚のカードを選び出し、観客に見せると1人の観客がそのパケットの中に自分のカードを見つけます。しかし、その直後に選んだカードはパケットから消え、デックの中に1枚だけひっくり返って現れます。もう1人の観客のカードは先ほどのパケットの中にひっくり返って現れます。

エドワード・マルロー(Edward Marlo)&カルメン・ダミコ(Carmen Damico)の「デビリッシュ・ミラクル(A Devilish Miracle / 1948年)」の改案。作品名の通り、非常にダイレクト且つシンプルな解決法を用いることで、1人目のカードがパケットから消失→裏向きのデックの中から表向きで出現→2人目のカードがパケットから表向きで出現、という現象を原案よりも少ない負担でスマートに解決しています。

ルーン
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改案のお手本と言っても過言ではない名作だと思います。

②タカギズ・コインズ・アクロス(TAKAGI’s Coins Across)

演者は8枚のコインを示し、左右の手に4枚ずつ握りますが左手の4枚のコインがすべて右手に移ってしまいます。コインを2枚減らし、左右の手に3枚ずつ握りますが、また左手のコインがすべて右手に移ってしまいます。更に2枚減らし、左右の手に2枚ずつ握りますが、やはりすべてのコインが右手に移ってしまいます。

3段構成のコインズ・アクロスです。第1段で4回、第2段で1回、第3段で1回と計6回もコインが移動するにも関わらず、コインズ・アクロスにおいて多用される、あの有名な技法を最後の1回のみしか使いません。解説文を読むと同じような動作が続くため、全体的に単調な作品なのかと思われがちですが、ハンドリングの妙で両手のあらためを現象が起こるたびにフェアに示すことができるなど、正しく演じさえすれば技法感の少ないとても不思議な手順です。

③ワイルド・タイム(Wild Time)

6枚のジョーカーを、1枚のハートの2で擦っていくと次から次へと同じハートの2に変化していき、最後はすべてのカードがハートの2になってしまいます。

ワイルド・カードの高木バージョンです。考案者はイギリスのピーター・ケーン(Peter Kane)で、ジーン・ヒュガード(Jean Hugard)の『Magic Monthly1962年4月号』に「ウォッチ・ザ・エース(Watch The Ace)」という名で発表されました。翌年それをフランク・ガルシア(Frank Garcia)が「ワイルド・カード(Wild Card)」の名でニューヨークのタネンの店から売り出し、その見た目にも分かりやすく強烈な現象効果から世界中で爆発的なヒット商品となり改案作品も多く生まれました。この改案は原案の不思議さはそのままに、滑らかなハンドリングとピラミッドのようなディスプレイの工夫(これにより演技上の安全性も高まっています。)で複数枚カードの鮮やかな完全変化を実現しています。

④ザ・ワイルド・ブランクス(The Wild Blanks)

両面真っ白な5枚のカードを取り出し、よくあらためます。演者が1枚のカードにサインして他の4枚のカードに擦りつけるとすべてのカードにサインが印刷されてしまいます。

とても易しくできて効果が大きいというコスト・パフォーマンスの良いマジックです。高木氏は最初ブランク・カードと普通のカードを使って演じていましたが、1972年にフレッド・カップス(Fred Kaps)にサインを使うアイデアを教えてもらったとのことです。この作品を知って自己紹介用の名刺マジックとして演じている人は結構多いのではないでしょうか。

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この解説で名称が書かれていない独特なカウント技法(たしか、加藤英夫氏が「ロールオーバー・カウント」と呼んでいたので私もそう呼んでいます。)は視覚効果抜群でかなり説得力があり、とても不思議に見えます。

⑤ザ・ソリッド・カップ(The Solid Cup)

演者は木製のカップと棒(ウォンド)を取り出します。ウォンドの先から小さいボールが出現します。ボールは何度も消え、その度にカップの中から現れます。繰り返していると突然大きなボールがカップから現れます。さらにカップをひっくり返すと実はカップではなく底面が平らで凹みが無く、ボールが入る余地など無かったことが分かります。大きなボールをカップの下に押し付けると消えてしまい、カップの中間辺りから上下に分解すると中から先ほどの大きなボールが出てきます。

ソリッドには「個体・固い」といった意味があり、マジックに使われる道具がいつの間にか有り得ない個体に変化してしまうことをソリッド・クライマックスと呼びます。最初はチョップカップの様な現象が起こりますが突然カップだと思っていた物が個体の塊だと知らされるので、前提を覆された観客の衝撃は相当なものになります。

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このソリッド・カップのアイデアは高木氏のアイデアで1977年に考案されました。ただし、この特殊なソリッド・カップを用意するのが難しく、最近では手軽に缶詰やポテトチップスの筒を代用する方法もあります。安っぽく見えてしまうのが欠点ですが、観客にとっては見慣れた物なので構えず気軽に楽しめるという利点もあるかと思います。

⑥トランスパースジション(Trans – Purse – Sition)

演者は小さな革製パース(小銭入れ)を取り出し、中から4枚のコイン(1枚のチャイニーズコインと3枚のハーフダラー)を出します。コインとパースをあらためてチャイニーズコインを再びパースの中にしまって口をパチンと閉じます。3枚のハーフダラーを左手に握りパースでおまじないをかけると瞬時にチャイニーズコインに変化しており、パースの中には3枚のハーフダラーが入っています。

複数枚のコインが一気に移動するインパクトの強い交換現象(トランスポジション)です。エキストラやギミックを使わないクリーンな手順ですが、少し大胆な手法を用いているのでスムーズに演じるにはある程度の練習が必要です。特筆すべきは「高木のパース・スチール」という応用範囲の広い便利な技法で、これを覚えるだけでも非常に価値があります。流れとしては、この後に解説される「トランス・パース・テイション」の後に続けて演じると効果的です。

⑦トランスパーステイション(Trans – Purse – Tation)

演者は小さな革製パース(小銭入れ)を取り出し、中から4枚のコイン(1枚のチャイニーズコインと3枚のハーフダラー)を出します。コインとパースをあらためて4枚とも再びパースの中にしまいます。左手を握りおまじないをかけて手を開くと1枚のハーフダラーが現れます。繰り返して2枚、3枚と左手の中からハーフダラーが現れ、最後にチャイニーズコインも左手の中に移動してしまいます。

ノーエキストラ、ノーギミックでおこなうコインの移動現象です。コインボックスの代用として持ち運びも手軽なパースを使い、4枚のコインの内1枚をチャイニーズコインにすることで演技の流れにアクセントをつけるとともに現象を理解しやすくしています。これを演じた後に前述の「トランス・パース・ジション」を演じると効果的です。

⑧ザ・ゴーストリー・シルク(The Ghostly Silk)

2枚のシルクを取り出し、1枚を観客に両手で縦に引っ張って持ってもらいます。演者はもう1枚を横に交差させ両手で持ちますが一瞬でシルクが貫通してしまいます。

同じ原理で演じやすいように工夫したロープマジックが古くからありますが、素材をシルクに変えることでステージでも演じられる見映えの良いマジックになっています。その分難易度は少し高くなっていますが観客との位置関係やハンドリングなど細かい工夫が成されていて、シンプルながら鮮やかで大変ウケの良いマジックです。

⑨フー・カッツ・ファースト?(Who Cuts First?)

観客にデックを4つの山(パイル)に分けてもらい、それぞれのトップカードを表返すと4枚のエースが現れます。

観客がカットしたところからエースが現れる「スペクテイター・カッツ・ジ・エーセス(Spectator Cuts The Aces)」は観客の心を掴みやすくカードマジックの導入に好んで使われるプロットです。この作品では4枚のエースが現れる時のイロジカルなハンドリングが全てで、演者の負担を最小限にしながら強力な錯覚を生み出すように計算されています。

⑩シズロープ(SCISSOROPE)

ハサミの柄の中に通して縛ったロープの両端を観客に持たせて引っ張らせると何故かハサミがすり抜けます。

ロープ切りの前芸として演じると効果的な小品です。間違いなくロープを通して縛ったように見えるのでとても不思議です。

⑪ザ・リーピング・シルク(The Leaping Silk)

ロープの中央にシルクを結び付け、観客にロープの両端を持ってもらいます。演者はもう1本のロープを取り出し、結び付けられたシルクの中央に通して引っ張ると、シルクは観客のロープから演者のロープに結ばれたまま移ってしまいます。

有名なサロンマジック向けの作品です。初心者向けの本などにもよく解説されているので名前は知らなくても見たことがある、あるいは知っているという人は多いのではないでしょうか。難易度がそれほど高くない割に不思議で見映えが良い名作です。

⑫トータル・トライアンフ(Total Triumph)

観客にカードを一枚選んでもらいデックに戻します。デックを2つに分け半分を表向きにして裏表をごちゃごちゃに混ぜてしまいます。おまじないをかけると一瞬でカードが表向きに揃い1枚だけ裏向きになっており、それが観客の選んだカードです。

ダイ・バーノン(Dai Vernon)の代表作でもある「トライアンフ(Triumph)」はカードマジックのプロットとして非常に有名になり、多くのマジシャンが独自の手法を発表しました。この作品ではラリー・ジェニングスのコンビンシング・コントロールやテンカイ・オプティカル・シャッフルやダロー・カッティング・ディスプレイといった技法の高木バージョンが効果的に使われ、カードが裏表によく混ざっているという説得力を高めています。

⑬ライジング・トライアンフ(Rising Triumph)

表裏バラバラに混ぜたデックから選ばれたカードだけが上がってきて、デックを広げるといつの間にか表裏が揃っています。

名前の通りライジング・カードとトライアンフを組み合わせたスタンディングでテーブル無しでも演じられる作品です。前半部分は「トータル・トライアンフ」と同じですが、後半でフレッド・ロビンソン(Fred Robinson)のライジング・カードをケン・クレンツェル(Ken Krenzel)がアレンジした方法を使っています。

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ギミックを使用せずスライトのみで、いつでも鮮やかなライジング現象を起こすことができますので単独でも覚えておくととても便利です。

⑭カラーシフト・トライアンフ(Color – Shift Triumph)

観客に赤裏のデックから2枚のカードを選んで戻してもらい、表裏をバラバラに混ぜ合わせますが、おまじないをかけると全て表向きに揃ってしまい裏向きの二枚だけが観客が選んだカードです。しかもそれ以外のすべてのカードが青裏に変わっているのです。

トライアンフとカラーチェンジ、それぞれの現象だけでも強烈なのにこの二つを組み合わせるのは流石にやり過ぎといった印象がありますが、トライアンフの現象をよく知っているマニア向けの手順なのかなと思われます。方法論は面白いので凝った手順を作りたい人には参考になるでしょう。

⑮ジ・オリエンタル・コインズ(The Oriental Coins)

4枚のコインと直径12センチくらいの小皿が2枚あります。小皿の中にコインを1枚入れ、もう1枚の小皿を伏せて重ね、口をぴったり合わせます。2枚目のコインを手に取り、おまじないをかけると消えて合わせた小皿の中から2枚のコインが出てきます。3枚目4枚目と繰り返し、すべてのコインが小皿の中に移動します。次に両手に2枚ずつコインを握りますが、左手の2枚がいつの間にか右手に移動して4枚になります。もう一度同じことを繰り返しますが、最後は意外なクライマックスが待っています。

3段構成の手順です。第1段での2枚の小皿を使った原理は1975年に赤沼敏夫氏がトリックスで発表した「UFOダイス」のコイン・バージョンです。第2・3段は小皿を使わずに”タカギズ・コインズ・アクロス”の手順の一部を繰り返し、最後に予想外の現象を起こします。これは読んでのお楽しみですね。

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本文では何故かクレジットについては触れられていませんが「アメリカ人の作品ではありません。」とわざわざ書かれていることから、当時日本だけでなくアメリカでもコピー商品が出回ったのではないかと勝手に推測しています。

⑯ザ・ダブル・ソート(The Double Thought)

演者は、観客によく混ぜてもらったデックを受け取り、予言のカードを1枚抜き出し、テーブルに裏向きに置きます。そして観客に自由に(本当に自由に)選んでもらった1枚のカードが予言と一致します。

超不思議な予言です。観客からの見た目は、これ以上ないと言ってよいほどシンプルで、それ故に予言が一致した時の衝撃はかなりのものとなります。難易度高めのある技法を用いなくてはいけませんが、図入りで丁寧に解説されているので根気強く練習してスムーズにできるようになれば強力な武器になると思います。もっと難易度を低くした代替案もいくつか思いつきますが、なんとかマスターしたいところです。

⑰コンバージェンス(Convergence)

4枚のコインを四角形に並べ、その上に4枚のカードを被せます。コインを1枚ずつ消していくと最後に4枚のコインが1枚のカードの下に集まってしまいます。

シンパセティック・コインズ(コイン・マトリクス)の高木バージョンです。コインが1枚移動する度に手元のカードをしっかりあらためることができる上級者向け手順です。コインの消し方がユニークですが、実際にやってみるとカードをテーブルに置いたり取ったりといった無駄な動作を極力無くすことで、流れるような演技ができるよう工夫された結果だと分かります。

⑱ロープ、ナッツ、アンド・ウォンド(Rope, Knots, and Wand)

観客にウォンドを縦に構えた状態で両端を持っていてもらいます。そこに輪になったロープを通し、しっかりと何重にも結び付けますが一瞬でスルリと抜けてしまいます。

クロースアップはもちろん、サロン・パーラーでも演じられるロープの貫通現象です。どう見ても複雑に絡まりあった結び目がスルリと抜ける奇妙な感覚は演者にとっても気持ちが良いもので、結び付ける動作自体がトリックの隠蔽効果であるという巧妙さと現象の鮮やかさ、そして何より簡単というオススメ作品です。

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難があるとすれば、ロープの両端を糸で縫い付けて結び目の無い輪を用意しなくてはいけないことです。たしかに結び目の無いロープの輪の方がスムーズに演技ができますが、普通にロープの両端を結んだ輪でも、結び目の部分を左手に握れば問題なく演じられます(演技中、左手のロープは一度も離しません)ので、道具の点で面倒に思いスルーしていた人は是非試してみてください。

⑲ダブル・カット・アンド・リストード・ロープ(Double Cut and Restored Rope)

ハサミで切ったロープが2回とも鮮やかに復活します。

高木重朗フリークなら一度は実演または映像で見たことがある有名なロープ切り手順です。1段目の解決法がそのまま2段目の解決法に繋がっていく無駄のない2段構成で、説得力がありエンドクリーンで流れるような美しい手順です。

⑳モンテ・ウィズ・フォー(Monte with Four)

演者は3枚の字札と1枚の絵札、合計4枚のジャンボカードを取り出して裏向きで混ぜ、絵札がどこにあるか観客に尋ねますが、絵札はいつも予想外の位置にあり、最後は絵札が消えて4枚とも字札になってしまいます。

通称「高木モンテ」とも呼ばれる有名な手順です。特殊なジャンボカードが必要になりますが4枚だけですので自作も可能ですし、クロースアップで演じるなら市販のポーカーサイズのギミックカードがそのまま使用できます。

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高木氏はポーカーサイズ、ジャンボサイズ、マンモスサイズと3種類用意して使い分けていたそうです。

㉑ドゥー・アズ・アイ・ドゥー・ロープ・ルーティン(Do As I Do Rope Routine)

第1段:演者は長いロープを取り出し、観客にハサミを渡してロープを切って2本にしてもらいますが長さが合っていません。長い方のロープを切って長さを揃えるようにお願いしますが何度切っても長さが揃いません。困った様子でおまじないをかけるとロープが1本に戻ります。

第2段:もう一度同じようにロープの真ん中を切ってもらい、今度こそ2本のロープを作ります。2本のロープの片端同士を結び、その結び目に息を吹きかけるよう観客にお願いすると、結び目が動きロープから外れて1本のロープに戻ります。

第3段:もう一度ロープの真ん中を切ってもらい、2本のロープを作ります。同じように端同士を結び、また結び目を動かしますが、今度は元の位置に戻して再び結び目を解いて見せます。

第4段:1本のロープを輪っかに結び、真ん中を切ってもらいます。そのロープを観客に渡し、もう1本のロープも輪っかに結んで真ん中を切ります。演者と観客が同じようにロープを持ちます。演者が結び目に息を吹きかけると結び目が動いてロープから抜け、元通り1本のロープに戻ります。観客にも同じことをするように促すと、観客も結び目を抜き取ることができ2人で満場の拍手を受けます。

ショーの最後に演じられるくらいの、とても見応えのある素晴らしいロープ・ルーティンです。前述の「ダブル・カット・アンド・リストード・ロープ」をマスターしていれば、手順自体は覚えるのにそれほど苦労はしないと思います。ただ演技時間が長く、観客を飽きさせない見せ方を工夫したり演技力を磨く必要があるので、そういう意味では演じるのが難しい作品かもしれません。しかし苦労してマスターするだけの価値はあると思います。

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この作品の最も素晴らしいところは、手伝ってくれた観客が起こす現象がクライマックスになっているところで、客席との一体感が高まり自然と拍手が起こりやすい状況を作り出すことに成功しています。

㉒チャイニーズ・ラバー・バンド・ミステリー(Chinese Rubber Band Mystery)

輪ゴムを捻って二重にしてから両手で引き千切りますが、おまじないをかけると復活しています。


千切った輪ゴムを復活させる古典作品に一捻りのアイデアを加えて不思議さを高めています。スムーズに演じられると本当に輪ゴムを千切ったようにしか見えません。

㉓ア・ビューティフル・サム・タイ(A Beautiful Thumb Tie)

演者の両手の親指を丈夫な紙紐2本でしっかりと縛りますが、観客に持ってもらった棒や腕、フープなどを通り抜けて演者の腕と繋がってしまいます。途中で両手の親指を何度も確認しますが、やはりしっかりと縛られています。


日本古来の手妻では日本刀を用いて緊張感のある芸として演じられていますが、カジュアルな雰囲気で楽しく演じるサムタイもなかなか良いものです。この作品の最も良いところは「小さな道具で大きな演技ができる」ということでしょう。ステージやサロン・パーラーで演じる機会が多い人なら覚えておいて損はありません。

㉔オワン・ト・タマ(OWAN TO TAMA)

3つの伏せたお椀から玉が出たり、消えたり、移動したりを繰り返し、最後に蜜柑などの果物が出現します。


西洋の「カップ・アンド・ボール」はストリート・ギャンブルや大道芸から派生したマジックですが、日本手妻の「お椀と玉」は舞台芸から始まっており、「お椀返し」というカップではできない独特な技法が使われています。手順は6段構成となっており、和風の音楽に乗せて演じると、とても趣深い演技になります。玉の作り方も詳しく説明されているので道具を揃えるところからじっくり楽しむのも良いかもしれません。このお椀と玉がキチンと解説されている本の多くは既に絶版となった古書であるため、まだ比較的入手しやすいこの本はとても貴重な資料と言えます。

㉕ニュー・エラ・リンキング・リングズ(New Era Linking Rings)

6本の金属製リングが繋がったり外れたりします。途中で観客にも手伝ってもらいながら最後はすべてのリングが繋がって、またすべてが外れます。


6本リングの高木バージョンです。リングはK1本、S3本、そしてWとオーソドックスな組み合わせですが、内容は嘘の繋ぎ方やコメディっぽい繋ぎ方、観客に手伝ってもらって一緒にやる繋ぎ方など独特な手法も多く、普段からリンキング・リングをよく演じる人にとっても興味深い手順となっています。


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