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奇跡・大魔法のカラクリ

2022-08-17和書,日本語書籍,ステージ,催眠・暗示,危険術,心霊・呪術トリック,歴史

書誌情報

著者 Walter.B.Gibson
訳 高木重朗
発行所 東京堂出版
初版 1990/9/20
定価 1,300円(181ページ)

ルーン
ルーン
原著『Secrets of Magic Ancient and Modern』の和訳本。エジプト時代から二十世紀初頭までの歴史上有名な奇跡や魔術の秘密を解説した本です。昔の人の発想力には感心するばかりで、解説書というよりも読み物として非常に面白い本です。

1 古代人の神秘

古代エジプトの魔術
ライオンを思い通りに操ったり、ガチョウやアヒルの首を切り落として元通りに繋げて生き返らせる。

ファラオの蛇
魔術師が持っていた杖を投げ出すと、杖が生きた蛇になって動き出す。

メムノンの像
何世紀にも渡って音を出す石像。

ベラス王の墓
いくら油を注いでも満たすことのできない棺。

雷鳴の神殿
扉を開けると必ず雷鳴が鳴り響く神殿。

不思議な祭壇
礼拝者が女神像の祭壇に火を灯して讃えると、女神像が持っている瓶から御神酒(ワイン)が注がれる。

奇跡の泉
神殿に取り付けられた大きな石の器の中に常に水が蓄えてあり、汲めども汲めども水が減らない奇跡の泉。

シビルの神殿
扉の前の祭壇に火を焚くと扉がひとりでにゆっくりと開く。

ヘロの切れない首
アレクサンドリアのヘロが発明したと言われる金属製の馬の像はワインを飲み、その後刀で首を切り落とすが、刀が完全に通過した後でも首が落ちることはなく、しかも再びワインを飲む驚異的な仕掛け。

2 中世の魔術

中世の責め具のトリック
錐やナイフで自らの身体を刺し貫いたり切りつけたりするが血を拭うと傷が治っている不死身の男。

ヨハネの首切り
少年をテーブルにうつ伏せに寝かせ、頭に布を被せて首を切り落とすが、再びくっつけると生き返る。

錬金術師カリオストロの坩堝
水銀や銅、様々な化合物や粉末を混ぜて金や銀を作り出す錬金術師。

コロシアムの悪魔
多くの悪魔を召喚するシシリアの魔法使い。

ノストラダムスの鏡
有名なノストラダムスが予言に使った鏡のトリック。

火を食べる人間
燃えている炭や油を食べたり飲んだりして最後には口から火を吹き上げる怪人。

燃える蒸焼(むしやき)天火の秘密
鉄製のクローゼットのような室を作り、中の温度が300度以上になるまで火を焚き、その中にステーキ用の肉を持って入り、数分後に焼けたステーキ肉を持って無事に出てくる。

透明な少女
室内に透明な箱が吊り下げられ、箱の側面に蓄音機のラッパのようなものが取り付けられている。見物者がその箱に話しかけるとラッパから少女の声が返答する。

大砲の弾丸を抱きとめる
大砲から発射された砲弾を10ヤード(9.1m)の距離で無傷で受け止める超人。

3 近代の魔法

自動チェス棋士
ケンペルン男爵が作った有名な自動チェス人形。

悪霊を撃った銃
ライフルで悪霊を狙って撃った後、壁に血が付いていた。

ルーン
ルーン
ロベール・ウーダンの逸話のひとつ。真偽の程はかなり怪しい…?

剣を呑む
長い剣を呑みこんでみせる恐るべき技。

電気少女
電気椅子に座っても平気な少女が電球を持つと灯りが点き、観客が触れると鋭いショックが手に走る。

不思議なボール
直径約60㎝くらいのボールが重力に逆らって坂道を登ったり演者の指示通りに止まったり動いたりする。この不思議なボールの芸が衰退した意外な理由とは?

人間蠅
空中に水平に吊るされた板の裏に逆さまに立って歩いてみせる女性。

銃弾に不死身の男
銃で撃たれても死ななかった男が来ていた上着の驚くべき秘密。

ジョージアの奇跡
大の男2人と力比べをしても勝ってしまう怪力女性。

現代版サムソン
450㎏もある鉄アレイを1人で軽々と持ち上げる男。意外なアクシデントでバレたトリック。

4 インドの魔術

色のついた砂
赤や青、黄色などの色が付いた砂を水がなみなみと入った大きな器に入れて混ぜる。観客に好きな色を言ってもらい魔術師は濁った水の中からその色の砂を掴み出してみせ、しかも砂はサラサラと乾いている。

ルーン
ルーン
現在も演じられていることの多い「Sands(サンズ)」の原点ですね。昔は黒・白・レンガ色の3色で演じられていて、次第にカラフルになっていったようです。

はねる石
濁った水が入った大きな鉢の中に鳥の卵くらいの大きさの石を入れておまじないをかけると、鉢の底に沈んでいた石が水中から跳ね上がって魔術師の手の中に収まる。石を見物客に渡して調べさせ、鉢の中の泥水も流し出して仕掛けが無いことを示して見せる。

ルーン
ルーン
面白いトリックです。「色のついた砂」の後に続けて演じられることが多かったようで非常に効果的だったであろうと推測されます。

インドの蛇使い
理屈が分かってもやはり凄い熟練技術。

素直なコブラ
蛇使いの興味深い話とコブラにかける催眠術。

不思議なマンゴウの木
土が入った鉢の周りに3本の枝を立ててその上に布を被せてテントを作る。鉢の土にマンゴウの種を植えて布を被せ、しばらくして布を取ると土から芽が出ている。布を被せる度にマンゴウの木が育っていき、最後は実をつけるまでに成長する。

インド籠の秘密
竹か籐で編んだ円錐形の籠に少年が入って座る。上から布を被せると少年が消え、魔術師は籠の中に立ったり座ったりしてみせる。さらに籠に板の蓋をして剣を何本も突き刺すが、最後は再び布を被せると少年が元気な姿で出てくる。

ルーン
ルーン
現代もよくステージで演じられている「ヒンドゥー・バスケット」です。当時は消えた少年が近くの木から降りてきたりと他の場所から現れる演出もよく使われていたようです。

重さを催眠術にかける
魔術師の足元に網に入れられた小さな子供がおり、魔術師はその子をじっと見つめておもむろに頭を上げてのけぞると網に入れられた子供が魔術師の膝の辺りまで浮き上がる。

ルーン
ルーン
当初は「眼力」で子どもを浮かせる現象だったようですが、さすがに当時のインドでもそれは無理筋だったようで、すぐに「眼球にぴったり付けたカップから伸びている鉄線で大きな石を持ち上げる」という演出に変わっていったようです。

人間煙突
ヒンドゥー教の行者が底の無い筒を見せて少年の頭の上に置く。筒の上から紙や布、木片などを入れて油をまき火を点けて燃やしてみせる。筒からは煙だけでなく炎も上がるが少年は平然としている。

宙に浮く行者
ヒンドゥー教の行者が小さな台椅子に立てた杖の上に手を置いて空中にじっと坐っている。

ルーン
ルーン
現代でも大道芸で演じられていることが多いですが、最新のイリュージョンではさらに進化した仕掛けが使われています。

インドの綱
行者が綱の端を上空に投げ上げると綱はするすると天に向かって登っていき、1人の少年がその綱をよじ登っていく。少年の姿が見えなくなったところで行者が掛け声をあげると綱の端が地面に落ちてきて少年の姿は消えてしまう。

ルーン
ルーン
伝説的な「ヒンドゥー・ロープ」の魔術ですが、仮説ですら演技条件を整えるのが難しく、実際に目撃できた人はいたとしても僅かだったであろうと思われます。

5 東洋の魔術

熱湯の審判
神道の修行僧が大釜で沸かした熱湯に飛び込み、無傷のまま釜から出てくる。

刀の梯子
脚立のような足場が組まれ、何本もの刀が刃を上向きにして段々にかけられる。演者は一歩ずつ刀の刃の上に裸足の足を乗せ、ゆっくりと体重をかけて刃の階段を上り下りしてみせる。最後に足の裏を見せるが無傷である。

火渡り
燃やした炭を敷き詰めた「火の道」の上を神道の修行僧が裸足で火傷をすることなく渡りきる。

ルーン
ルーン
イギリスでおこなわれた科学的なテストで興味深い解析結果が出たことが記されています。

日本の米の不思議
何も入っていない一升桝を取り出し、その中を米でいっぱいにする。桝に絹の布を被せて扇子で叩くと桝の中の米が跡形もなく消えて、見物客の懐や財布などから消えた米が出てくる。

ルーン
ルーン
現代でも充分に通用する優れたトリックです。

噴水の秘密
所謂「水芸」。舞台上の魔術師が魔法をかけるとテーブルの上の花瓶から水が噴き上がり、続いて扇子や刀の先、助手の頭の上などあらゆるところから水が出てくる。

ルーン
ルーン
当時の舞台では最も大掛かりでフィナーレに相応しい幻想的な演目だったようです。(でも、よく考えてみると現代でも充分大掛かりですよねコレ…。)

鋲のベッド
行者が上半身裸になり、長い鋲がびっしりと付いているベッドの上に仰向けに寝てみせる。その行者の腹の上に大きな石を乗せて、助手が大金槌でその石を叩き割る。行者は起き上がり背中を見せるが無傷である。

物質を超える精神
脈拍をコントロールしたり、身体のいたるところに針を刺してみせ血を出したり出さなかったりもコントロールしてみせる。

生き埋めの術
仮死状態で棺に入り土の中に埋められて何日も経った後に掘り起こされても生きている。

6 舞台魔術の秘密

不気味な生首
三脚テーブルの上の生首が喋りだす。

ブランコの少女
天井から吊るされたブランコの板の上に上半身だけの生きている少女が乗って微笑んでいる。

宙に浮く女性
魔術師が女性に催眠術をかけテーブルに寝かせる。魔法をかけると女性の身体は横たわったまま浮き上がり、テーブルを取り除いても浮いたままである。魔術師は大きな輪を取り、女性の身体をあらゆる方向からくぐらせてみせる。その後女性の身体は徐々に下がっていき、再びテーブル上に戻り目を覚ます。

女性を真っ二つ
テーブルの上に長方形の箱が置かれ、女性がその中に入って頭と手足を箱の穴から出す。魔術師はノコギリを取り出して箱の真ん中から切っていく。切断された箱の切り口に2枚の板が差し込まれ、箱は完全に2つに引き離される。再び箱をくっつけると中から女性が無傷で現れる。

水中からの脱出
手錠をかけられた魔術師が箱の中に入り、蓋は釘で打ちつけられ密封される。箱の周りに鎖がかけられ川の中に沈められるが、しばらくして魔術師が水面に顔を出し見事脱出を成功させる。

ルーン
ルーン
フーディニの名を世間に知らしめたエスケープ・マジックです。彼は自身の宣伝戦略にとても長けていたことが知られています。

フーディニの象の消失
舞台に巨大な箱が運ばれ、前面のカーテンを開いてその中に大きな像を導き入れ、カーテンを閉める。箱を1回転させ観客に見せ、フーディニが「象よ消えろ!」と叫んでカーテンを開くと箱の中はもぬけの空になっており、箱の後ろの扉を開いても何も無い。扉とカーテンを閉めてもう一度開けると象が再び現れる。

ルーン
ルーン
当時おこなわれたイリュージョンの中で最大規模のスケールを誇る大魔術でした。多くの観客が度肝を抜かれたことでしょう。

自動画家
女性の姿をした機械人形がキャンバスにクレヨンを持った右手を伸ばしている。背中のネジを巻いて観客に絵のテーマを聞くと人形はその通りに絵を描いてみせる。ショーが終わると助手が人形の服を取り、機械の手足をバラして片付けてしまう。

7 心霊術のトリック

交霊会
テーブルの上にラッパやタンバリンなどの楽器が置いてある。霊媒師の両手は左右両脇にいる人達と小指を絡めている。明かりが消され部屋が真っ暗になると楽器が浮き上がり音を鳴らしながら空中を飛び回る。

テーブルを持ち上げる
テーブルの周りに交霊会の参加者が座り、全員がテーブルの上に両手を置く。しばらくするとテーブルが一方に傾き始め、その後反対側に傾く。時には急激な傾きでテーブルが横に動くこともあった。

霊による音
交霊会で精神を集中するとテーブルから霊による音が聞こえてくる。参加者が質問をすると音の回数で霊が受け答えをする。

ルーン
ルーン
フォックス姉妹の有名なラップ音現象から霊媒師達は音による演出の必要性を強く感じ、多くの手法を編み出しました。

幽霊トランペット
トランペットを部屋の中央に置き、霊媒師と参加者は手を繋いで輪を作る。部屋を暗くするとトランペットが浮き上がり参加者の耳元で様々なことを囁く。

霊魂の形
液状のパラフィン(蝋)が入ったバケツと冷水の入ったバケツを用意する。パラフィンが入ったバケツの重さをあらかじめ計っておき、部屋の明かりを消すと霊が現れたような気配がして、明かりがついた時には床に霊の顔型や手足の型が残されている。この型と残ったパラフィンのバケツの重さを計ると最初と同じ重さである。

霊魂の描く絵
何枚かのキャンバスが参加者に渡され、すり替えができないようにサインをしてもらう。霊媒師はキャンバスを持って小部屋に入るがすぐにキャンバスを出して見せる。そこには霊が一瞬で描いた絵と参加者のサインがある。

霊魂の出現
霊媒師は参加者たちと手を繋ぎ輪を作る。部屋を真っ暗にすると輪の中に霊が現れ、参加者と話をする。

霊魂のメッセージ
2枚の小さい黒板に霊魂からのメッセージがチョークで書かれる。

ルーン
ルーン
現代でもマジックでよく使われる有名なトリックです。他にも当時の様々な方法が紹介されています。

血で描くテスト
霊媒師は出席者全員に死んだ知人の名前を紙片に書いて折り畳んでもらい、テーブルの上に置かせた。霊媒師は片方の袖を捲り上げて腕を見せ、テーブルの上の紙片のひとつを無造作に取り上げ、出席者に渡す。霊媒師は腕をテーブルの下に差し入れ、しばらくして出すと腕に薄い血の色で名前が書いてある。その名前が紙片に書いてあった名前と一致している。

ルーン
ルーン
これも現代のマジックで演じられている有名なトリックですが、紙片を燃やした灰を腕に擦り付けるという演出はインチキ霊媒師の手法を暴くために実演してみせたフーディニによるアイデアだそうです。

霊の写真
出席者に自前のサイン付き感光板を持ってこさせ、それで写真を撮る。現像すると出席者の周りに霊が写っている。

※上の写真は昭和49年(1974年)8月14日に金沢文庫より発行された『奇跡と大魔法』です。内容は上記本とほぼ同じですが、こちらの金沢文庫版は巻末に奇術研究家・荒井勲氏の「念力スプーン曲げ」と、法術関連の研究家・秋山命澄氏の名著『法術の正体』(大正13年刊)の一部が載っています。

念力スプーン曲げ
スプーンを曲げる4種類の方法と最後に切断する方法。

熱に関する法術
鉄火術
真っ赤に焼けた鉄の棒を素手で握りしめて一気にしごくが手に火傷などは一切ない。

熱湯術(探湯術)
釜の中の熱湯に手を入れて釜の底にある石などを取り出してみせる法術で探湯(くがだち)とも呼ばれる。

火渡り
御獄教の行者や山伏などがおこなう神道の行事で松薪を長方形に積んで燃やし火の道をつくり、足に清めの塩を付けて火の上をずんずんと歩いて渡る。多くの信者もその後から続いて渡ってみせる。

燭火法
蝋燭などの炎の中に手を差し入れたり、炎を口の中に入れてみせたりする法術。

刺針術の原理と方法
針を腕や頬、耳などに平気で刺し通してみせる法術。

刀剣に関する法術
刃渡り術

白紙などを細かく切って切れ味を示した刀を動かないよう木の台に固定し、その刃の上を素足で歩いてみせる法術。

白刃擦過法
切れ味を示した刀の刃を頬に押し当てて擦り引いても何の傷もないという法術。

腹上野菜切り
上半身裸になった人間の腹の上に野菜を置き、刀で刻んでいくが、まな板代わりに使われた腹は無傷という法術。

金剛力の原理と方法
指の金剛力

人差し指と親指をくっつけて輪をつくり、誰かに両手の人差し指を輪の中に入れて輪の指が離れるように引っ張らせるが並みの力では開けることができないという法術。

押し合い術
少年が片手で短い棒を水平に持ち、大人がその棒の両端を両手で持って力いっぱい押してもびくともせず、逆に少年に押し返されてしまう。

強直法の原理と方法
2つの椅子を間隔を空けて置き、そこに人の頭と足を乗せて吊り橋のように寝かせ、さらにその腹の上に乗ってみせるという法術。

腹上石割り術
仰向けに寝た人の腹の上に大きな石を乗せ、鉄槌で石を割ってみせるという法術。

棒折り術
水平にした竹の棒の両端を短冊の紙で吊り、中央を木刀で真っ二つに折るが短冊の紙は破けていないという法術。

動物催眠術の原理と方法
鶏を催眠術にかけると死んだように動かなくなり、行者が呪文を唱えると生き返ってまた動き出すという術。

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