魔術館の一夜
- 1. 書誌情報
- 2. 蘇生するマッチ
- 3. マッチの頭と尾
- 4. 天使の左の手
- 5. コインとハンカチーフ
- 6. 大きくなるコイン
- 7. 新 数当てカード
- 8. 紋づくし
- 9. 最後のカード
- 10. 三つの山の問題
- 11. 邂逅
- 12. ぱくんぱくん人形
- 13. 花咲く屏風
- 14. 一方交通
- 15. 逆説動物園
- 16. ロープとリング
- 17. 下から上へ
- 18. 三重廻し
- 19. 鏡の中の結び目
- 20. ロープのからみ合い
- 21. まほうの樹
- 22. アミダくじ
- 23. ヘビのドーナッツ
- 24. シルクの中よりシルク
- 25. 帽子からとび出すウサギ
- 26. 失われた断片
- 27. 変形する断片
- 28. 家具パズル
- 29. 立方体パズル
- 30. 穴が動く
- 31. 影のごとく
- 32. ジャンボ ペネトレーション
書誌情報
著者 泡坂妻夫
発行所 社会思想社
初版 1983/2/28(ハードカバー)・1987/5/30(文庫)
定価 1500円(174ページ)・400円(173ページ)
【21時】登場人物二人の会話が始まります。
【22時】何気なく演じ始めることができるような所謂小ネタが集められています。
蘇生するマッチ
燃え差しのマッチ棒におまじないをかけると再び火が点きます。
マッチの頭と尾
2本のマッチ棒を取り出しマッチの頭部を折って切り離し、右手に頭部のみ、左手に尻尾部分のみを握って手を開くと、それぞれの手から頭部と尻尾部分のマッチ棒が出てきます。
天使の左の手
バイスクルのカードを取り出し、珍しいカードを見つけたと言い、左上コーナーの右向きの天使の中に1枚だけ左向きの天使のカードがあることを見せます。ちょっとした話題として盛り上がれる小ネタです。
コインとハンカチーフ
折り畳んだハンカチの中にコインを入れて、すぐ相手に渡しますがコインは消えています。
大きくなるコイン
ハンカチに包んだコインが突然大きくなります。ビジュアル面でのインパクトが大きく手順構成も秀逸。
【23時】数理のみで技法を必要としない作品が集められています。
新 数当てカード
1から30までの好きな数字を心に思い、5枚のカードの中からその数字が書かれているカードを選んでもらい、演者はその数字を当ててみせます。一般的な手法では当てられないよう原理にひと捻り加えた作品。
紋づくし
「新 数当てカード」と同じ原理で数字を家紋に置き換えたもの。
最後のカード
ダイ・バーノンの「ラスト・カード」改案2題。ダウン・アンダーの原理を応用した巧妙な方法で観客のカードがパケットのどこに入れられても(あるいはパケットが何枚でも)問題無く当てられるようになっています。
三つの山の問題
有名なジェルゴン積み分け原理のバリエーション。シンプルな原理にひと工夫が加えられており、不可能性が高いカード当てになっています。
邂逅
ジェルゴン・トリックのもうひとつのバリエーション。こちらは趣が変わってカードの裏面に目印が描かれており、カード当てにESPカードのような一致現象も加わります。
【0時】道具を自分で工作する楽しみが味わえる作品が集められています。
ぱくんぱくん人形
「かえり板」あるいは「ヤコブの梯子」と呼ばれる原理を使った紙の玩具の作り方。
花咲く屏風
かえり板の原理を利用した屏風を筒状に畳むと中から花やシルクが出現します。ステージでも使えて何かを出現あるいは消失させると共に図柄の変化も示せる秀逸なアイデア。
一方交通
「箱屏風」の面白い原理を利用した箱の作り方。箱の側面に切り抜かれた矢印があり、箱を畳んで広げるだけで反対向きに変わってしまいます。
逆説動物園
「箱屏風」の側面に檻の外から動物を見ている見物人たちの絵が描かれており、箱を畳んで広げると今度は動物が檻の中の人間を見ている絵に変化します。
【1時】ロープ・マジックが集められています。
ロープとリング
ロープに結びつけられたリングがロープの両端を持ったままですり抜ける「雲雀結び」と呼ばれる古典トリックの応用版。
下から上へ
ロープの両端を結んで輪にしてから2重にします。この2重のロープの中にリングが出たり入ったりします。
三重廻し
ロープを何重にもリングに巻き付けますが、リングはするりと抜けてしまいます。
鏡の中の結び目
ロープの両端から手を離さずに結び目を作る有名なパズルをした後で、今度は演者の真似をして結び目を解くロープ版「Do As I Do」。演者の結び目は解けるが観客の結び目は絡まってしまいます。
ロープのからみ合い
もうひとつのロープ版「Do As I Do」。観客は演者と同じように結び目を作りますが、演者の結び目だけはするりと解けてしまいます。
【2時】仕掛本やその他のギミック、錯覚を利用した様々な作品を集めています。
まほうの樹
地面に植えた種がみるみるうちに大きな樹に育っていく仕掛け絵本の作り方。
アミダくじ
演者必勝の仕掛けのあるアミダくじの作り方。
ヘビのドーナッツ
茶筒のような円筒状の容器の側面に描いてあるヘビとドーナッツの絵が蓋を回すと変化していきます。
シルクの中よりシルク
シルクハンカチを握った左手の上にかけ、右手人差し指で上から窪みをつくると中からシルクハンカチが現れますが、また消えてしまいます。両手はすぐに検めることができます。
帽子からとび出すウサギ
1973年にテンヨーで商品化された仕掛本「ボクの手品師」の作り方。絵本のページをパラパラと捲るとマジシャンが帽子からウサギをだしているアニメーションが見えます。何度か繰り返すと出てくるウサギが増えてしまいます。
【3時】手作りできる個性的なパズル作品が集められています。
失われた断片
1枚のジャンボカードを切り分けて作られたパズル。裏面を一度完成させてから今度は表向きで完成させようとしますが何故か小さな断片だけが余ってしまいます。
変形する断片
ジャンボカードのパズルが2組あります。演者と観客で裏面を一度完成させます。今度は表面で完成させようとしますが、お互いに何故かどうしても会わない断片がひとつあります。演者と観客で断片を交換するとピタリと合い、表面のパズルが2組完成するのです。(※ハードカバー版では厚紙から切り離して使えるジャンボカードが付録として付いています。)
家具パズル
パズルの断片に家具の絵が描かれており、もう無理と思われた追加の家具は何とか部屋に収めますが、次のもうひとつは…楽しいオチのついた作品です。
立方体パズル
立方体の箱の中にこのような三角の立体が詰まっていますと言い、見本を見せます。この見本と同じ立体が箱の中にいくつ入っているでしょう?と問題を出し、箱の中の立体を出してみると3つ入っています。立体を3つ箱に戻すとまだ隙間があるので見本の立体も入れてしまいます。さらに一度立体を箱から出して立体を2つ追加しますがそれも箱の中に収まってしまいます。
【4時】仕掛けと手先の技術の両方を必要とする貫通現象の作品が集められています。
穴が動く
長方形の紙の端に穴が開いています。その穴を指で押さえて引っ張ると穴が反対側の端に移動してしまいます。
影のごとく
カードがカードを通り抜けていきます。
ジャンボ ペネトレーション
3枚のジャンボカードの内、2枚のカードの真ん中に穴が開いています。そこにリボンを通し上と下で縛ります。もう1枚のカードを横にしてリボンで縛った2枚のカードの間へ入れていきますが通り抜けてしまいます。
【5時】夜も白々と明けてきました…。
【初発表誌一覧】
掲載作品が初めて発表された雑誌の一覧。