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Five Easy Pieces(ファイブ・イージー・ピーセス)

和書,日本語ノート,カード,クロースアップ,サロン・パーラー,メンタル,日用品・その他

長谷和幸

書誌情報

マジック・マーケット2020価格 2,000円

不思議職人と評される日本国内を代表するマジック・クリエイターの1人、長谷和幸氏がマジック・マーケット2020の為に用意した珠玉の未公開トリック5作品が、A4サイズ22ページのレクチャーノートで解説されています。

①ビジブル・ホール

縦長封筒の下端を破り取って筒状にし、その中に観客から借りた紙幣を通します。全体を2つ折りにして中央にペンを突き刺しますが、穴が開いているのは封筒のみで紙幣は無事です。

紙幣の貫通マジックは数多くの作品が発表されていますが、この作品は封筒を使うことにより紙幣の全周を紙が包む状況になるだけでなく、借りた紙幣使い、最後に封筒もあらためられるという特に不可能性の強いものになっています。封筒を使うというのがとても賢いですね。さらにバレにくい工夫を思いついたので、今後レパートリー入りしそうです。

②冷たい方程式

10枚の単語カードの表裏に漢字と英単語が書かれており、観客が自由に1枚選びますが、それが予言されています。

これはユニークかつ使えるアイデアです。漢字と英単語の符号が奇跡的に噛み合った時の作者の喜びは想像に難くありません。こういった瞬間があるから創作はやめられないんですよね。

③2分の1の魔法

赤と青の2つのデック・ケースを示し、演者が見ていないところで片方をポケットに入れてもらい、もう一方を見えないようにハンカチに包んでもらいますが、観客がポケットに隠したデック・ケースの色を当てます。

確率は50%なので、それほど不思議には見えないかもしれませんが、どちらのケースもあらため可能ですし中のデックもレギュラーなので、そのまま普段演じているカードマジックに演技を繋げることができます。導入として便利な小ネタだと思います。

④ラ・ヴァルス

パーラーやステージでのジャンボカードを用いた公明正大なフォースの紹介。

これは便利。パーラーやステージでの演技が多い人は覚えておくべきです。このフォースはレギュラーデックでおこなえる上に怪しい動作もありません。ラショーモン・プリンシプルが引き起こすデュアル・リアリティを上手く利用しており、どこにも矛盾がありません。

⑤リアル・スティール

大型のゼムクリップに小さな安全ピンを通し、外れないように出口を輪ゴムで留め、安全ピンをクリップに強く押し当てるとピンがクリップを通り抜けます。観客に手渡して同じようにやらせてみせますが出来ません。

昔は安全ピンとマッチ棒、近年ではストローが良く使われている有名で優れた古典トリックですが、見様見真似で誰にでも出来るということと現象を繰り返していると適切な力加減が微妙に変わってくるという欠点がありました。ここでの方法はこれらの欠点を克服しており、観客には出来ず、何度繰り返しても安定した現象を起こすことが可能になっています。単なる面白い実験やパズルでは終わらせず、マジックとして楽しめるように完成されていると思います。

あとがき「芸術と芸能の間に…」

短めの文章ですが大事なことが書かれていると思います。もし読み飛ばしてしまった人は一度読んでおくことをオススメします。

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