The Magic No.76(ザ・マジック)
書誌情報
発行 デアゴスティーニ・ジャパン
監修 マジシャン・メイガス
発行日 2022/2/8
定価 1,823円(税込)
【セット内容】
冊子(オールカラー12ページ)
DVD(約24分)
シガレット・バニッシャー
タバコの消失②(Cigarette Vanisher)
演者はタバコを1本取り出し、火を点けて一服します。何を思ったか火の点いたタバコを握り拳の中に押し込んでしまいます。火傷すると観客が思った瞬間、手を開くとタバコが跡形もなく消え失せています。
マジックで小さい物を消失させる為のギミックをバニッシャーと言いますが、これはその中でも古い歴史を持っているプルと呼ばれる道具です。いつ誰が発明したのか正確には分かりませんが、1913年のロターバーグ(Roterberg)の『Catalog#15』にはシガレット・バニッシャーの広告が既に存在していました。
マッチしないマッチ(Crazy Matchbox)
演者と観客でひとつずつマッチ箱を持ちます。演者は「私の真似をしてください。」と言ってマッチ箱を操作します。観客はまったく同じように真似をしますが、何故かマッチ箱の裏表が一致しません。
私の真似をしてごらんという意味の「Do as I Do」と呼ばれるプロットでは、カード、ロープなど様々な素材を使用したものがありますが、これはマッチ箱を使用したトリックです。『クロースアップ・マジック事典』(松田道弘著)にも解説されていますが考案者はよく分かりません。この手のプロットはあまりしつこくやると観客を挑戦的にしてしまいがちなので2~3回で止めておくか、何か面白いオチを用意するなどして興味を逸らせた方が良いと思います。
オープン・プレディクション(Open Prediction)
演者は最初に予言を示します。観客にデックを渡し、1枚ずつ表向きにカードをめくっていってもらいます。観客は好きなところでめくるのを止めて1枚だけ裏向きで重ねます。残りのカードをチェックした後、裏向きのカードを表向きにすると、なんと予言と一致します。
オープン・プレディクションは、ポール・カリー(Paul Curry)が1940年代の終わり頃に提唱したカード・マジックのプロブレム(解決が困難な条件付き問題)で、多くのマジシャンがこの難問に挑戦しています。初めて印刷物で解答されたのは1953年で、エドワード・マルロー(Edward Marlo)の『The Cardician』で発表されました。マルローの解決法はレギュラー・デックを使う場合のスタンダードな考え方としてその後定着します。デアゴスティーニで解説されている作品の原案は、これまたマルローの「Olram’s Open Prediction(オーラムズ・オープン・プレディクション)」です。演技前に観客が否応なく選んでしまうカードをはっきりと予言してから始める原案に沿った手順と、予言を紙に書いて折り畳んでテーブルに置き、まだ予言の内容を観客に見せないままで始める手順の2種類が解説されています。どちらもレギュラーデックで演じることができ、特に難しい手技を必要としない大胆な解決法を採用していますが、ややリスクがあるのが難点で、ある程度観客のコントロールができる実力が必要です。どちらかと言えば、まだ何が起こるのか観客に分からないという点においてリスクが低い後者の方が演じやすいかもしれません。
付属マジックアイテム
シガレット・バニッシャー:タバコの消失専用に作られたギミック。