The Magic No.04(ザ・マジック)
書誌情報
発行 デアゴスティーニ・ジャパン
監修 マジシャン・メイガス
発行日 2017/12/05
定価 1,657円+税
【セット内容】
冊子(オールカラー12ページ)
DVD(約37分)
スポンジボールセット
パケットカード(1枚)
※この記事は2017年に実施された広島県のテスト販売時に書かれたものです。全国販売版とは内容が違う場合がありますのでご注意ください。
基本テクニック講座
スポンジボールのフェイクパス
カードの扱い方④
ドリブル①、②
コインの扱い方②
ピック・アップ・ムーブ
Sponge Ball(スポンジボール)
小さいハート型のスポンジボールが増えたり移動したりを繰り返し、最後には観客の手の中で大きなハートに変化します。
スポンジを使ったマジックは、1926年にIBMコンベンションにてジョセフ・L・ライバーガーがシンプルな手順を披露し、その後マジック雑誌『リンキング・リング(Linking Ring)』に「ファントム・ボール」の名称で発表されました。当時のマジシャンはキッチン用スポンジ(あのスポンジ・ボブみたいな穴だらけのやつです。)などをカットしてボールを自作していましたが、1960年代半ばにアル・スティーブンソン(Al Stevenson)がポリウレタンフォームで柔らかく完全な球形に近いスポンジボールを作る方法を発明します。その後、アルバート・ゴッシュマン(Albert Goshman)が大量販売し、世界中でスポンジボールを使ったクロースアップ・マジックが流行することとなりました。
解説されている手順は王道とも言えるもので、マジシャンにとっては目新しいものではないかもしれませんが、各要所でセリフや目線のタイミングなど重要なポイントが丁寧に解説されているので、今までなんとなく演じていた私のような人は勉強になると思います(笑)
また手順の途中で変更できる少し難易度の高い演じ方や、追加オプションでフェイクパスを使わない2(ツー)インザハンド・1(ワン)インザポケットも解説されており、自分のレベルに応じた演じ方ができるように工夫されています。
デアゴスティーニ(左側)・テンヨー(右側)
気になるスポンジの質感ですが、テンヨーの「スプラッシュハート」と比較してみました。サイズは両方とも同じで、大きいハートが(縦7.5㎝・横8㎝・厚さ3.3㎝)小さいハートが(縦3㎝・横3㎝・厚さ2㎝)です。デアゴスティーニの方がやや色が濃く、握った時に少し固く感じますが、その分手を開いた時の復元力が強く、パッと元の形に戻ります。最大の違いはデアゴスティーニの方は大きいハートを観客に握らせることができるという点でしょう。テンヨーのスプラッシュハートの方の大きいハートにはある仕掛けが施してあり、演者の負担を減らし効果的な現象を起こすことができる代償として観客に手渡すことができないという制約が付きますが、デアゴスティーニの方は道具自体になんの仕掛けもないので観客に手渡すことができます。
Matrix(コイン・マトリクス)
マットの四隅に格子状(マトリクス)に配置した4枚のトランプの下にそれぞれ1枚ずつ隠されたコインが次々に移動して最後は1箇所に集まってしまいます。
イタリアのヤン・ホー(Yang Ho)によって考案されたプロットで、T・ネルソン・ダウンズ(Thomas Nelson Downs)の『The Art of Magic』(1909年)に発表された「The Sympathetic Coins(集合するコイン)」を1960年にアル・シュナイダー(Al Schneider)が改良・有名にしたコインマジックの名作です。「集合するコイン」で使用される2枚のカードを4枚にすることで余分な動作を一切排除しつつ、演技全体や道具のクリーンさ、現象の鮮やかさを極限まで高めた芸術的とも言える作品が分かりやすく解説されています。
Key-Card Location(キーカード・ロケーション)
観客が選んだカードをデックに戻し、ノーヒントでズバリ当ててみせます。
最も初歩的なカード当てですが、セリフやそれを発するタイミングなど適切に演じられるとやはりとても不思議ですね。
HISTORY OF MAGIC<妖術の開示>
前号でチラッと紹介された『妖術の開示(The Discoverie of Witchcraft)』に関する歴史。近年明らかになった新事実も含めて詳細に解説されており、非常に興味深い内容です。
付属マジックアイテム
ハート型スポンジボールセット:大1個、小4個。
パケットカード:スペシャルマジックのドリーム・オブ・エーセス用。