The Magic No.69(ザ・マジック)
書誌情報
発行 デアゴスティーニ・ジャパン
監修 マジシャン・メイガス
発行日 2021/11/2
定価 1,823円(税込)
【セット内容】
冊子(オールカラー12ページ)
DVD(約39分)
マニピュレーション・カード
ファンの消失(Vanishing Fan)
空中から出現したカードのファンが手を振ると再び空中へと消えてしまいます。
複数枚のカードが一瞬で消えたように見える高度なテクニックで、これまでに解説された29号の「ファンカード(前半)」、33号の「ファンカード(後半)」、37号の「5枚カード」、52号の「スプリット・ファン・プロダクション」といったカード・マニピュレーション・シリーズの中でも難しい部類に入ります。
お椀と玉(OWAN TO TAMA)
演者は3つのお椀と3つのお手玉を取り出してよくあらためます。伏せたお椀の中のお手玉が他のお椀の中に移動したり、お手玉がお椀の底を通り抜けたりといった現象が繰り返され、最後にはお椀の中から大きなお手玉が現れます。
世界中で最も古くから演じられている奇術のひとつに「お椀と玉(カップ&ボール50号参照)」があります。東洋では仏教伝来の流れと共にインドから中国、そして日本へと奈良時代の頃に伝えられたようです。お椀と玉が「品玉(しなだま)」とも呼ばれるようになったのは江戸時代からで、その頃に初めて『放下筌(ほうかせん)』(明和元年・1764年)や『天狗通(てんぐつう)』(安永八年・1779年)という書物に解説されました。共に当時の好事家である平瀬鞆世が書き記した本です。『放下筌』には「しな品の術」として四つの茶碗を使った手順が多くの絵図で詳細に解説されており、玉の色が白から黒に変わったり、松茸が現れたり、離れた笊(ざる)の中から生きた子犬を出したりと観客を飽きさせない多彩な現象を起こしていたことが分かります。また演技のスタイルも様々で、1人で観客と話しながら演じたり、相方と2人で掛け合いながら演じることもあったようです。場所は大道やお座敷が多かったようですが、文政十四年の草双紙『富士の裾うかれの蝶鵆』に掛け小屋の舞台で、観客が見やすいように斜めにした毛氈敷きの台の上で「お椀と玉」を演じている挿絵が載っており、舞台でも演じられる人気演目であったことが窺えます。
付属マジックアイテム
マニピュレーション・カード:デアゴスティーニ特製デザインのブラックバック・バージョン。